2014 Fiscal Year Annual Research Report
MRI複素誘電率画像は細胞内水分子のネットワーク構造を反映するか?
Project/Area Number |
24650246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 徹 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80261361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THA KhinKhin 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (20451445)
堤 香織 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80344505)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MRI / タンパク / 誘電率 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク発現に伴う細胞内の水分子集団の構造変化をMRIにより検出できるかを検証した。BSA(bovine serum albumin)を対象にその水溶液の誘電率の濃度依存性を自作した装置を用いて測定した。MRIで用いる周波数ではBSA濃度の上昇に伴い誘電率は減少した。この依存性より生体中のタンパク濃度変化では、誘電率は1%未満しか変化せず、MRIの誘電率測定精度では検出が困難であることが判明した。次に、BSA水溶液の縦緩和率(R1)、横緩和率(R2)の濃度依存性を3T MRIを用いて調べた。R1、R2はBSA濃度に線形的に増加し、R2の測定誤差率はR1よりも低い値であった。病気による脳脊髄液(CSF: cerebrospinal fluid)中のタンパク濃度変化が報告されているので、MR画像上でCSFが広く現われる側脳室に着目し、CSFの非侵襲的R2測定により病気に伴うタンパク量変化の検出可能性を検討した。側脳室領域に設定した関心領域(ROI: region of interest)の平均R2には6%程度の違いが認められ、腹側のROIのR2が増加傾向にあり、脈絡叢からのCSF産出による微小流の影響が示唆された。R2測定に用いる脳室領域の信号を、20分割した閾値をもとにそれ以上のものに限定した場合、上位3閾値以上のデータを用いた際のR2測定誤差率が最小(1.5%)であった。CSFの信号のR2測定から細菌性髄膜炎を判別するには、2.2%の違いを検出する必要があるので、MRIによる細菌性髄膜炎の非侵襲的判別が行える可能性がある。脳室全体の3次元撮像などのさらなる工夫で、他の疾病に伴うCSF溶存タンパクの濃度変化の判別も期待できる。
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Research Products
(3 results)