2012 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー性神経回路変調発生・伝搬過程の可視化
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24650249
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
神保 泰彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20372401)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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| Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 細胞・組織 / 分子認識 / ナノバイオ |
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| Research Abstract |
平成24年度の研究実施計画として設定した検討課題に対して以下の成果を得た．
(1) 複数の細胞培養マイクロ区画を有するデバイスの設計・製作
非侵襲・長期の細胞電気活動計測が可能という特徴を有する微小電極アレイ基板（MicroElectrode Array; MEA）にシリコンゴム（poly dimethyl siloxane; PDMS）製の立体構造を集積化し，複数の細胞培養区画を有する細胞培養皿を製作した．具体的には，6角形の区画を3×3 mm の方形区画3個が取り囲むパターンとし，各区画に16個の微小電極を配置した．周囲区画から中央区画へは神経突起のみ進入可能なトンネル（幅50 um, 高さ5 um, 長さ150 um）で連絡する構造とした．フォトリソグラフィとソフトリソグラフィの組み合わせにより，電極アレイおよびガイド構造を形成するプロセスおよびその最適条件を確立した．周囲区画に播種したラット海馬神経細胞の神経突起がトンネル構造内に侵入し，中央区画に到達することをbeta 3 tubulin をマーカとする免疫組織化学染色により確認した．
(2) 細胞電気活動計測
上記設計・製作したMEA基板上で培養したラット海馬神経回路の自発電気活動を記録した．培養開始後11日目の段階で，培養海馬神経回路に特徴的な同期活動が観測され，今回製作したデバイスの動作が確認できた．周囲3箇所の培養区画で観測された活動パターンは，各区画内では明確な同期性が見られ，異なる区画間では「類似性が認められる」程度となり，中央区画での相互作用を解して活動が伝播することを示唆する結果が得られた．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たなフォトリソグラフィ用マスクを製作し，「64個のマイクロ電極を4つの細胞培養区画に16個ずつ配置し各区画間は神経突起のみを介する弱い結合を導く」という基本構想に対応する計測デバイスの製作プロセスが確立できた．このデバイス上で問題なく細胞培養が可能であることが確かめられたことから，本研究が目指すアルツハイマー様の病態の誘導，神経突起の相互作用を介したその広がりの観測に向けた電気活動計測実験に進む準備が整ったと判断した．
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| Strategy for Future Research Activity |
海馬培養神経回路に対してbetaアミロイド（amyloid-beta peptide; Abeta）投与によりアルツハイマー様の病態を誘導し，正常な神経回路との比較，神経突起を介した相互作用による病態の伝播を観測することが次のステップである．さらに，本研究でこの過程の制御に重要な役割を果たすと考えるコリン作動性ニューロン群の作用を可視化することを目指し，実験を進める．具体的には，Abeta 投与による自発電気活動の変化とその広がりを1ヶ月間の遷移過程として観測することを目標とする．並行してコリン作動性細胞群を含む神経核として前脳基底部のニューロン群を採取し培養する条件の検討を進め，海馬神経細胞との共培養によりその調節作用可視化を目指す．
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画初年度の平成24年度は，複数の細胞培養区画を集積化したデバイスの設計とその最適化を重点的に進めたため，デバイスの試作と細胞培養の予備的実験が多くの割合となった．平成25年度は計画目標の達成に向けて細胞培養，電気活動計測実験が本格化する．主として実験動物と細胞培養試薬，電気生理実験関係消耗品が主たる支出項目となると予想しており，計画的に研究費の使用を実施する．また研究計画最終年度であることを勘案し，論文誌，学会などを通じた成果発表を積極的に行い，必要な経費を支出する．
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Research Products
(2 results)
