2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 裕輔 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90193010)
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Keywords | 人工腎臓 / 遠心分離 / サイクロン管 |
Research Abstract |
本研究は体内埋込式人工腎臓の開発をめざしてサイクロン型血液連続分離法の提案とその基礎研究として、サイクロン管による血球の濃縮分離実験を行った。まず、数値流体解析により流路形状の最適化を行った。その結果を基にして、サイクロン管の実験機を作製した。このサイクロン管に遠心ポンプおよびローラーポンプでブタ血を送血し、遠心分離による血球濃縮を試みたが、遠心力と滞留時間の不足により全血を濃縮させることは困難であった。そこで、サイクロン管内における遠心力の向上と滞留時間の延長を図るために、サイクロン管の直径を小さくし、円錐部のなす角を鋭角にしたものを2種類作製し、ヘマトクリット値0.1 %の希釈赤血球液を用いて実験を行った。希釈赤血球液の使用は粘度が全血よりも非常に低くなり、単位系量当たりの赤血球数も少なくなるためサイクロンにとって好条件となる。この実験の結果、上下の流出口から採取される希釈赤血球液濃度に顕著な差異は見られなかったが、サイクロン管中央部に赤い柱が観察された。この赤柱はサイクロン管内の2次流れにより集積した赤血球によるものだと考えられた。これらの結果から、上部流出口付近の赤血球には、流入口から流入した後、2次流れにより上部流出口へと向かうものと、流入口から圧力勾配に従い流出口へと向かうものの2つが存在していると考えられた。そこで、新しく作製したサイクロン管の数値流体解析を行った結果、流入口付近から流出口へと向かう半径方向の流れが観察された。今後、サイクロン管による赤血球の濃縮分離の可能性を示すためには、粒子追跡法によるシミュレーションを用いたサイクロン管の再設計や、ハイスピードカメラを用いた上部流出口付近の観察が必要である。
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