2013 Fiscal Year Annual Research Report
知覚情報処理時のサブネットワーク構造に注目した神経修飾物質の機能解明
Project/Area Number |
24650252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (90361518)
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Keywords | 聴覚 / 大脳皮質 / 神経活動パターン / 神経修飾物質 / 同期 / 脳 |
Research Abstract |
セロトニンやノルアドレナリンなどの神経修飾物質は,脳の情報処理にグローバルな影響を与える.本研究では,ラットの聴覚皮質の神経活動において,神経修飾物質が,情報処理に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.具体的には,ラットを動物モデルとして,迷走神経刺激 (VNS) が聴覚皮質の神経活動に与える影響を精査した.なお,VNSは,セロトニン系やノルアドレナリン系を賦活し,脳活動に広範な調整作用を及ぼす. まず,VNSが,聴覚皮質の安静時の神経活動パターンに与える影響を調べた.その結果,VNSは,局所電場電位 (LFP) のパワーを増大させることなく,LFPの局所的な同期を増加させることがわかった.位相同期の上昇は,gamma 帯域では,聴覚皮質内で聴覚皮質内外よりも高くなり,逆に,alpha帯域やlow-beta帯域では,聴覚皮質内外で高くなった.これらの結果は,VNSが,大脳皮質の局所的な情報処理にも,広域的な情報処理にも影響を及ぼしていることを示唆する. 次に,VNSが,聴覚誘発反応に与える影響を調べた.具体的には,ラット聴覚皮質・視床のマルチユニット活動を多点同時計測し,聴知覚に関わる神経活動の特徴として,音誘発反応の再現性と時間分解能を,VNS前後で調べた.その結果,VNSにより,聴覚皮質では周波数選択性が上がり,視床では音圧に対する精度の低下が示唆された.また,刺激音に対する時間分解能は聴覚皮質では低下するが,視床では変化しなかった. これらの結果から,神経修飾物質が,安静時の感覚皮質の神経活動パターンに影響を及ぼしうること,さらには,音刺激に対する誘発反応を変化させることがわかった.
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