2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS由来心筋細胞を利用したヒト洞房結節細胞ペースメーカー機転の研究
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24650260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 綾子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378704)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | iPS細胞 / ペースメーカー / 数理モデル解析 |
Research Abstract |
本研究では、iPS細胞由来心筋細胞を用いた細胞生物学実験と数理モデル解析によって、ヒト心臓ペースメーカー機転を明らかにすることを目的とし、平成24年度は以下の検討を行った。 洞房結節細胞のペースメーカー機転としては、古くから提唱される「membrane clock」仮説と、比較的新しい「Ca clock」仮説があり、いまだ議論の的となっている。自動能をもつ拍動培養心筋細胞HL-1では、ミトコンドリアNa-Ca交換機転(NCLX)がCa clockを修飾することによって、自動能形成に寄与することを明らかにした。現在この成果をまとめ、論文を投稿中である。 洞房結節細胞の自動能発生におけるNCLXの寄与を明らかにするために、細胞の自発興奮がmembrane clockで駆動されるHimeno model (Am J Physiol 2008)とCa clockで駆動されるMaltsev & Lakatta model (Am J Physiol 2009)の2つの数理モデルをプロトタイプとして選択し、新たにミトコンドリアCa動態に関するコンポーネントを実装した。これらのモデルを用いてNCLXの抑制シミュレーションを行ったところ、自発興奮の間隔はmembrane clock modelでは短縮、Ca clock modelでは延長と、正反対の結果をもたらすこと、すなわちNCLXの寄与はmechanism依存性であることを見出した。この成果を学会発表した。 iPS細胞由来ヒト心筋細胞の電気生理学的解析、蛍光色素を用いた細胞内Ca動態の解析は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、遺伝子操作が簡便な拍動培養心筋細胞HL-1を用いた細胞生物学実験並びに数理モデル解析により、心筋細胞自動能発生機序に関する基本動作原理を得ることができた。iPS細胞由来ヒト心筋細胞の細胞生物学実験がやや遅れているが、安定培養システム、測定システムは既に稼働中であり、現在解析を進めているところであるため、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞由来ヒト心筋細胞の細胞生物学実験がやや遅れているが、次年度には完了することができると考える。現時点では研究計画の変更はしない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験のための試薬や消耗品、シミュレーション解析用のコンピュータの購入に使う予定である。
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