2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内における生体直交性化学反応を基盤とする金属ナノ粒子の動態制御
Project/Area Number |
24650261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 健雄 京都大学, 工学研究科, 助教 (80378801)
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Keywords | ナノ粒子 / ナノメディスン / 生体直交性反応 / 細胞内動態 / トランスロケーション |
Research Abstract |
細胞内におけるナノ粒子表面化学構造変換と、その後のナノ粒子動態の制御を実現するために、触媒を使わず生体直交性反応を引き起こす化学構造の合成と、それを含むナノ粒子作製、および細胞内におけるナノ粒子表面修飾反応を行った。 昨年度までに、表面にシクロオクチン構造を含む蛍光性シリカナノ粒子を合成し、外部から添加したアジド化合物とのHuisgen環化付加反応の条件検討を行った。その結果、ナノ粒子の表面構造を細胞内で効率よく変換することに成功した。 本年度は、ナノ粒子の表面構造変換に伴う細胞内粒子挙動変化の観察に取り組んだ。まず初めに、細胞内特定器官親和性分子によるナノ粒子表面の細胞内修飾を検討した。ナノ粒子を取り込んだ細胞に対して、細胞膜脂質成分をアジド化修飾した分子を外部より投入して粒子挙動を観察したところ、細胞膜へのナノ粒子局在化、およびナノ粒子の細胞外排出の促進が起こることがわかった。この技術は、ナノ粒子を用いた薬剤輸送システムの構築にも利用できる可能性がある。 さらに、細胞内に取り込ませたナノ粒子に対して、物性(極性、親水性など)の異なるアジド修飾小分子を外部から添加することにより、細胞内における表面物性変換反応を起こし、その後のナノ粒子の移動の様子を観察した。その結果、添加したアジド化合物の物理化学特性に依存して、ナノ粒子の細胞内滞在性が若干変化することがわかった。ナノ粒子が移動する機構の解明には更なる研究が必要であるが、本研究成果は、ナノ粒子が生体に及ぼす影響を明らかにするための重要な知見となるはずである。
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Research Products
(4 results)