2013 Fiscal Year Research-status Report
酸化的環境のための小さな時間分解蛍光イメージングプローブの開発
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24650266
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
和田 郁夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40182969)
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Keywords | 蛍光イメージング / 分子イメージング / 分泌過程 |
Research Abstract |
細胞外環境で安定で、できるだけinertな蛍光プローブの作成のために、これまで作成してきたGFPファミリー、eqFP578ファミリーメンバーに加えて、現在最も明るい各波長の蛍光タンパク質について、酸化的環境でもオリゴマーを作成しない改良型変異体を作成した。これらにより、事実上、蛍光イメージングとして汎用される波長範囲をカバーすることができた。 さらにヒユサンゴ由来の光変換特性を持つ蛍光蛋白において同様のアプローチを進めて、大気中で安定な分子に改良できた。その光変換特性を解析する過程で、この分子がオリゴマー特性に依存したFRETセンサーとして機能することに気がつき、これを用いて分泌系での分子状態の検知を行う事が可能であることを示した(日本生化学会発表)。 ランタノイド類金属結合タグ、LBTを酸化的環境での蛍光イメージングに応用できるように検討を行ったが、実用的なレベルには遠く達せず、これについては断念した。しかし、植物青色受容体由来の蛍光蛋白改変型であるiLOVをさらに改良したphiLOV2.1に改変を重ねて、酸化的環境においてもほぼモノマーで改良された分子特性を持ち、光化学的性質としてもある程度改善された分子を得ている。 内膜系での蛍光イメージングでの一つの問題点は、その構造体のダイナミクスを的確にい十分な時間チェイスすることの困難さであった。これは機器とプローブ、双方の現実的な制約で、これまでどの蛋白性蛍光基においても、構造変化に十分な時間分解能でのイメージングが容易ではなかった。そこで、蛋白との結合により蛍光を発する小さなタグであるFAPを用いて検討を進めたところ、小胞体構造変化を比較的高い時間分解能で、従来の蛍光タグを用いるよりも少なくとも一桁以上安定に記録できる改変体をほぼ作成できた。しかし、拡散特性は余り高くなく、融合分子側への影響について検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既知のタグに基づき、分泌過程で問題となる配列を飽和変異を用いることで、解決し、さらに、酸化的環境での、よりinertなイメージングのタグを開発する、というのが本課題の基本的方針である。これに基づいて、これまでの汎用的な蛍光蛋白について、事実上、ほぼすべての蛍光波長において、実際に使用できる改変体を作成することができた。 さらにchromismの性質を持つ蛍光蛋白について、申請時には予想しなかった蛍光タグとしての使用法を見いだした。 同様に、近赤外領域を用いた、より細胞毒性の少ない、しかも高い時間分解能を可能にする蛍光タグの改良が進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.phiLOV2.1を酸化的環境で機能できるように、改良をさらに着手していない領域に飽和変異を加えることで行い、可能な限り、分子輝度の高くブリーチ耐性で小さなタグを作成する。 2.前年度作成された酸化耐性な光変換蛋白を用いたFRETセンサーを用いて、分泌系でのストレス検知に応用する。 3.小胞体内に発現したFAPの拡散解析を詳細に行い、融合される分子への影響を極力少なくするようなものにさらに改変を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.計画していたfluorogen依存的蛍光蛋白、FAPに用いるfluorogenの入手が当初困難で遅れた。このため、化学合成も検討したが、技術的な理由で断念した。現在では購入できるようになっている。このような事情から、FAPの研究が予定よりも進行していない。 2.最も基本となる飽和変異の手法において、これまでより数倍高い効率で行う事ができるようになった。このため、小さなタグであるphil2.1改変体のうちで、立体構造から考えて、可能性が低いとして手をつけていなかったドメインにも着手することにした。 3.酸化的環境でinertな光変換蛋白を用いたFRETセンサーの可能性は予想外な展開で、その生物学的重要性を検討したい。 物品費399188円、旅費50千円、その他(出版費用)150千円
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