2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ超微細加工技術による熱弾性膨張型レーザー誘起水中マイクロ衝撃波発生装置の開発
Project/Area Number |
24650273
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中村 匡徳 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20448046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平原 裕行 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20201733)
澁谷 秀雄 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (80303709)
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
池野 順一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10184441)
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Keywords | 衝撃波 / 微細加工 |
Research Abstract |
H25年度は、①光ファイバ端面の研磨方法の改良,および,②光ファイバの材質が衝撃波発生に与える影響について検討を行った.前者については,H24年度の結果から光ファイバ端面に粗さがあると,端面に蒸着した金属薄膜に割れが生じ,結果として発生する衝撃波圧力が減少することがわかったからである.この目的の下,種々の研磨方法について検討した.結果として,3種類(FO#320, #600, #1200)の砥粒で研磨を行った後,0.5μmの参加セリウムで研磨し,最後にコロイダルシリカで表面を洗浄した場合において最も荒さが少なくで研磨が可能であることがわかった.また,H24年度では,複数の光ファイバを束ねて研磨を行ったところ,研磨ムラが大きかった.そのため,H25年度では,研磨用の治具を新たに開発し,研磨ムラを少なく効率的に大量の光ファイバを研磨することに成功した.②は,H24年度において,ガラス製の光ファイバから強い衝撃波が出力されない理由について探るためのものである.H24年度の研究結果からは,その理由として,1.光ファイバーへの導光面(衝撃波が出るのと反対側の面)でのレーザー反射,または,それに伴うエネルギロス,2.光ファイバーへの金属薄膜の密着性の2点が挙げられた.これらのうち,2の金属薄膜の密着性について,光ファイバの材質をガラスとプラスチックの両者で試すことにより比較検討を試みた.プラスチックの場合,レーザ出力を上げるとファイバー自体が加工されてしまう可能性があると同時に,現時点では,2つのファイバについて全く同じ条件で加工することができておらず,現在,これらについて検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H25年度は,H24年度よりも細い光ファイバの加工技術の確立に多くの時間を要した.特に光ファイバが細くなるにつれ,光ファイバを切断する際に端面にクラックや欠けが生じたため,光ファイバの切断方法から検討をしなければならなかった.切断後の研磨においても,光ファイバ周囲に被覆用のナイロンがついていると,ムラなく研磨することが難しくなってしまう(ガラスは結晶のため研磨速度が速いが,ナイロンは繊維であるため研磨速度が遅い.).切断方法について検討した後,切断面を効率よく研磨する方法について検討を行った.その際,大量の光ファイバーを一括でムラなく研磨することを考えて,光ファイバの固定治具について新たに設計・製作を行った.研磨方法については,研磨剤や砥粒の大きさ,研磨時間をパラメータとして研磨を行い,最終的に最も効率的かつ粗さが少ない状態で研磨できる条件を見出した.しかしながら,この条件設定に多くの時間がかかったため,予定していた蒸着する金属種が衝撃波強さに与える条件や100ミクロン以下の更に細い光ファイバを用いた実験に割く時間がなかった.これらについては引き続き検討を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は,直径400ミクロンの光ファイバの研磨および衝撃波の発生まで成功した.H24年度は直径1mmの光ファイバについての研磨であったので,その半分以下の直径の光ファイバの加工に成功したのは大きな前進である.特に,H25年度は,H24年度にて問題であった光ファイバ研磨精度の悪さやムラを低減し,一度に大量の光ファイバを研磨することができた.その一方で,更に直径の小さい光ファイバでの衝撃波発生には未だ成功していない.これを達成するためには,光ファイバ自体を細くする加工技術が必要となり,現在,それに取り組んでいる.また,光ファイバ自体に蒸着する金属種についても現在検討をお行っている.これまでに蒸着した金属はチタンのみである.衝撃波は金属の熱弾性変形によって発生するため,異なる金属種であれば,与えるエネルギに対して異なる強さの衝撃波がでることが予測される.金属薄膜の蒸着パラメータは温度や時間など種々のものがあり,今後は,これらをコントールしながら最適な金属薄膜蒸着条件を見出すと共に,金属種が発生する衝撃波強さに与える条件について見出す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に直径が非常に小さい光ファイバーに対して金属薄膜蒸着を行い、衝撃波を発生させて可視化観察および細胞への照射実験を行った国内外の学会にてその成果を公表する予定であったが、光ファイバが細くなるにつれ先端部の加工が困難になってきた。そのため、極細光ファイバの研磨技術の開発に多くの時間を割かねばならず、計画を変更した。そのために未使用額が生じた。 上記の状況に鑑みて、細い光ファイバに対して金属薄膜蒸着を行い、衝撃波を発生させる実験を行う。これに加えて学会にて成果を公表すると共に、学会などに参加して他の研究者の成果に学ぶことで現状我々が有している問題の解決策を模索する。
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