2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用合金の口腔内における腐食劣化を模擬した新たな測定法の開発
Project/Area Number |
24650275
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チタン / 腐食 / 生体材料 / 評価法 / 口腔内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口腔内における激しい腐食環境において、歯科インプラント、矯正用ワイヤー、金属義歯床など歯科用金属材料が腐食反応を起こし、アレルギーの原因となる金属イオンが長期的に放出される問題に対し、従来の耐食性試験法とは全く異なり、乾湿繰り返し環境を厳密に再現した新たな試験方法を開発し、改めて評価を行うこと目的とした。 研究の期間は平成24年度から平成26年度までの3年間とし、初年度は主に実験装置系を立ち上げること、および予備実験と測定条件の調整を繰り返し最適な測定条件を模索することとした。エポキシ樹脂に導線を接続した一対の材料を包埋し、電極とした。この電極表面を研磨し、試験溶液中に浸漬もしくは液滴を滴下した。電気化学インピーダンス測定により、腐食速度と表面の濡れの状態を計測することができた。次年度はチタンを用いて900ppmのフッ素を含有する環境で試験を行った結果、金属表面に薄い試験溶液が付着し、徐々に乾燥する環境においては、完全に浸漬した条件と比較するとより高いpHにおいて腐食反応が進行することが判明した。すなわち、口腔内のような液薄膜の乾湿繰り返し環境においては、従来の予想より容易に腐食が起こりうることが示された。最終年度となる平成26年度では、液膜厚が薄くなるほど腐食が促進され、pH5の中性環境においてもチタンが腐食されることを示した。また、金属材料と生体との反応に重要な役割を果たすタンパク質吸着挙動についても本研究の手法によりリアルタイムに解析ができることを示した。 以上の研究結果から、実際の口腔内腐食環境においては、唾液の付着状況や乾燥も腐食反応を加速する重要な因子であることを究明し、潜在的な腐食反応の可能性とその発生条件を明示することができた。また、電気化学インピーダンス法は腐食反応だけでなく、金属生体材料と生体内環境との反応の解析に有益であることを示した。
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Research Products
(3 results)