2013 Fiscal Year Research-status Report
転写因子タンパク質を固定化した新規バイオマテリアルの構築
Project/Area Number |
24650276
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三重 正和 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (40334528)
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Keywords | 組織特異的転写因子 / タンパク質導入 / バイオマテリアル |
Research Abstract |
本研究では、組織特異的転写因子タンパク質を固定化した新規細胞外マテリアルの構築を目的とする。この細胞外マテリアルでは、細胞接着能を有する細胞足場タンパク質と細胞膜透過能を有する組織特異的転写因子タンパク質に、コイルドコイル構造によるヘテロダイマーを形成するhelix Aとhelix Bペプチド配列をそれぞれ融合することにより、転写因子タンパク質を細胞足場タンパク質に固定化する。 細胞足場タンパク質としてラミニン由来のAG73ペプチドおよびNCAM結合ペプチドC3を融合したEAEC-helix Bタンパク質を構築した。この足場タンパク質は、良好な細胞接着性を示し、helix A融合成長因子を、コイルドコイル構造を介して固定化出来ることを確認した。更には成長因子を固定化したEAEC上で、成長因子の作用により分化の誘導が可能であることを示した。これらの結果は、国内の学会において口頭発表、国際専門誌において発表した。 一方、固定化する転写因子として、モーターニューロンあるいはオリゴデンドロサイトへの分化を担う転写因子Olig2を選択し、その特性を前年に引き続き評価した。前年度までにOlig2は細胞膜透過能を有すること、更には細胞内で導入された後、細胞分化を誘導することが示されている。そこで、helix Aペプチドを融合したhelix A-Olig2においても細胞膜透過能および細胞分化誘導能が保持されているかを検討した。その結果、helix Aを融合してもOlig2は、細胞膜透過能および細胞分化誘導能を維持していることを明らかにした。また、モーターニューロン・オリゴデンドロサイトの分化振り分けを行うためにリン酸化部位に変異を施したOlig2S147Aを構築し、同様の評価を行った。現在、EAEC上にOlig2を固定化した細胞外マテリアルの機能を評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
転写因子を固定化する足場タンパク質についての評価は、順調に進展した。しかしながら、前年度からの遅れに加え、ポイントミュータジェネシスによるOlig2変異体の作製、更にはhelixペプチドを融合したOlig2タンパク質の発現・精製に予定以上の期間を要してしまった。そのため、本来の研究計画に比べ大きな遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階までの進捗状況を鑑みると、複数種の転写因子を固定化した新規バイオマテリアルの実現は容易でないことが伺える。今後は、本研究の基本原理の実証を早急に終了し、新たな転写因子タンパク質の精製と並行して既存の転写因子タンパク質の組み合わせ等を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ポイントミュータジェネシスによるOlig2変異体の作製、それに続くOlig2タンパク質の発現・精製に予定以上の期間を要した。そのために未使用分の研究費が生じ、繰り越しに至った。 繰り越した研究費は、タンパク質精製のためなどの試薬の購入費に充てる。また、期間延長により参加が可能となったヨーロッパバイオマテリアル学会への旅費に充てたいと考えている。
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