2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650286
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 栄夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20302218)
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Keywords | リンパ節 / 転移 / ネットワーク |
Research Abstract |
【目的】本研究は転移に関わるリンパネットワーク機能の実験的・理論的解明を目的にしている. 本年度は腸骨下リンパ節に腫瘍を生着させ腋窩リンパ節に転移を誘導できるリンパ節転移モデルを利用し, この際の転移に関わる間質液圧変化とリンパ流の理論解析を目的にする. 【研究成果の内容】 リンパ節転移モデルマウスとしてリンパ節腫脹マウスMXH10-Mo/lpr/lprを使用した. 腫瘍細胞にはKM-Luc/GFP細胞, およびFM3A-Luc細胞を利用した. 腸骨下リンパ節をセンチネルリンパ節, 腋窩リンパ節を二次リンパ節と定義した.腸骨下リンパ節に腫瘍移植日後からのセンチネルリンパ節および二次リンパ節の間質液圧を経過時的に調べた.(1)センチネルリンパ節ならびに二次リンパ節の間質液圧は経時的に増加し統計的有意差を示したが, 体積変化は統計的有意差が見られなかった. (2)リンパ液を非圧縮で定常な層流と仮定し,リンパ管はN子のリンパ分節から構成されるとした.実験結果から推定されるリンパ液の平均速度はKM-Luc/GFP細胞の場合は1.83 mm/s,FM3A-Luc細胞の場合には0.03mm/sであった.この流れによって腫瘍関連因子が二次リンパ節に流れることで転移前ニッチと呼ばれる転移を受け入れられる環境が整うのではと推測された. 【意義・重要性】本研究成果は, リンパ節転移には間質液圧の増加, それにともなう腫瘍細胞からの腫瘍関連因子が二次リンパ節に移動し転移性細胞を受け取るためのニッチ形成に寄与することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者ならびに共同研究者との連携が十分におこなわれ, かつ, 実験計画を無理なく終えることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
【目的】昨年度に同定した脹骨下リンパ節から腋窩リンパ節に向かうリンパ管を介した細胞転移能の評価をおこなう. 研究内容は以下の通り. 【実験内容】 (1)センチネルリンパ節に移植した際に, 他の臓器への転移の誘導の有無を調べるために, 移植後にリンパ節, 肝臓, 腎臓, 肺等の各臓器を取り出し, リシフェラーゼ活性を測定する. (2)ナノバブルと高周波超音波を用いて腫瘍転移に関わるセンチネルリンパ節, 二次リンパ節の腫瘍新生血管の定量化をおこなう. (3) リンパ節を摘出し, パラフィン切片作製後に, 血管内皮細胞マーカーCD31, およびリンパ管内皮細胞マーカーLYVE-1を免疫染色し, 血管抽出像が免疫染色部に一致するかを検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である. 平成26年度請求額とあわせ,平成26年度の研究遂行に使用する予定である.
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