2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650286
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 栄夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20302218)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リンパ節 / 転移 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】本研究ではリンパネットワークおよびリンパ節内の3次元的な血管構造の解明を目的にする. 【研究内容】本研究において, 研究代表者らが樹立したリンパ節転移モデルマウスであるMHX10/Mo-lpr/lprマウスのリンパ節腫脹にともなうリンパ節内の血管構造の成長過程ならびにリンパ節表層を走る胸腹壁静脈の成長過程をマイクロX線CTシステムを用いて明らかにした. また, 解剖学的手法を用いて, 腸骨下リンパ節と腋窩リンパ節がリンパ管で連結されており, 腋窩リンパ節からの輸入リンパ管は鎖骨下静脈に連結されていること, およびを胸腹壁静脈は腸骨下リンパ節と腋窩リンパ節の表層を走行するが, この胸腹壁静脈の両端は鎖骨下静脈と下大静脈に連結していることが明らかにされた. 【意義・重要性】以下の二点において本研究の意義と重要性が見いだされた. 1)従来, リンパ系と静脈系とは独立したシステムとして認識されていたが, 本研究によって, リンパ節を介してリンパ系と静脈系とが交通することが明らかになった. また, リンパ節転移においてはリンパ管を介してセンチネルリンパ節, 二次リンパ節のように細胞が転移すると考えられていたが、実際にはリンパ節からリンパ管を介して下流側リンパ節に流れると同時に, 表層を走る静脈に細胞が入り込む血行性転移を引き起こす可能性が示唆された. 恐らくはリンパ節転移の最終形態はリンパ節介在性血行転移である可能性がある. この概念はこれまでのリンパ節転移の概念を大きく変えるものと考えられる. 2)マウスの腸骨下リンパ節と腋窩リンパ節におけるリンパ系と静脈系の交通が明らかにされたことで, リンパ節転移の誘導法, 薬剤送達法, 薬剤開発などにおける指針が今後提案されるものと考えられる.
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