2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤内包ナノミセルを活用した新規化学粒子線治療技術の開発
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24650287
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺川 貴樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10250854)
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Keywords | 粒子線治療 / シスプラチン / ナノミセル |
Research Abstract |
本研究では、X線に比べて腫瘍への線量集中性が優れ、高い細胞致死効果を持つ粒子線照射と、抗がん剤シスプラチンを腫瘍組織にのみ効率的に伝達して抗腫瘍効果を低副作用で誘発するナノサイズ高機能薬物運搬体(CDDPミセル)を用いることにより、難治癌に対して従来よりも低線量・低副作用で高い治療効果をもたらす新規化学粒子線治療法の開発を目的としている。 今年度は、マウス骨肉腫細胞(LM8)を移植したマウスを用いた治療実験を実施し、CDDPミセルによる腫瘍への薬剤集積を評価するため、マウスから摘出された腫瘍サンプル中の白金元素濃度をPIXE(Particle-induced X-ray emission)法により分析した。PIXE分析では、腫瘍組織内のCDDP濃度の定量のために内部標準法を用いた分析と、0.5 mm径のビームスキャンによって組織レベルでのCDDPの空間分布を評価するサブミリPIXE分析を行った。また、Enhanced Permeability Retention (EPR)効果を利用する白金系DDS薬剤として、ナノキャリア(株)により開発されたナノプラチン(NC-6004)を用いた。 NC-6004投与群では、正常組織と腫瘍組織の白金集積に関して、腫瘍組織内により高濃度に集積することが確認された。さらに投与量を増加しても正常組織においては薬剤濃度の顕著な変化は見られなかった。したがって、NC-6004は腫瘍組織に効果的に伝達され、薬効をもたらすと同時に従来のCDDP投与における重篤な副作用を軽減できる可能性が示唆された。また、サブミリPIXE分析により評価された腫瘍切片内の各種元素の空間分布から、CDDPの直接投与により白金が腫瘍組織全体に分布しているのと同様に、ナノ粒子化されたNC-6009投与の場合でも白金は腫瘍組織全体に分布していることが認められた。
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Research Products
(5 results)