2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織内のリンパ節転移検出イメージングシステムの開発
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24650289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廖 洪恩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396784)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 検査・診断システ / イメージング / 蛍光スペクトル |
Research Abstract |
本研究は、脂肪組織に埋もれたリンパ節転移を見つけ、その三次元位置と大きさの把握が可能となるシステム・デバイスの開発を目標としている。研究開発1年目では、癌細胞が蛍光物質でマーキングされることを想定し、生体組織に埋もれた蛍光物質の三次元位置を把握する方法を検討し、主に下記の開発に取り組んだ。 蛍光物質が埋め込まれた散乱体表面から、一定距離離れた励起光源で励起光を照射し、得られた蛍光強度分布のピークが測定エリアの端であった場合には、ピークの側に測定エリアを移動し再計測する。励起光源位置の移動による蛍光強度の変化から、生体内蛍光物質の2次元位置を、また、複数の異なる点からの励起による蛍光強度の比から生体内蛍光物質の深さを推定し、生体内蛍光物質の3次元位置を推定する手法を提案した。具体的には、ディテクターとしてはファイバに接続した分光器、励起光源としては波長806nmのレーザー、散乱媒質としては皮下脂肪と同程度の散乱係数を示すIntralipid溶液、蛍光物質としては色素等転移リンパ節をシミュレートした蛍光組織を混ぜたものを使用し、蛍光物質の位置、深さ、大きさを変化させた種々の条件において、励起光源を二次元的に移動しては蛍光強度分布を計測し、蛍光検出システムによる深さ推定の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開発1年目より、リンパ節転移を特異的に診断する基礎的な技術の開発を行い、また、蛍光物質が埋め込まれた散乱体表面から、一定距離離れた励起光源から励起光を照射し、光ファイバディテクタで蛍光強度分布を計測する方法を開発した。「脂肪組織内のリンパ節転移検出イメージングシステムの開発」における術中にリンパ節転移の有無を判断でき、その位置の把握が可能となるシミュレーションシステムの研究開発は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開発2年目よりは、研究開発1年目に開発された基礎技術の融合とシステムの統合を開始する。同時に下記のテーマの研究開発を行う。 1)リンパ節転移検出可能なイメージングシステムの開発 提案手法により、蛍光物質の三次元位置推定の可能性は示されるが、対象物の大きさも変化させた実験を試みる必要がある。さらに、蛍光物質が深い位置にある場合や、蛍光を発する対象物が小さい場合を想定し、微弱な蛍光を検出することもできるように、光電子増倍管を用いて、同様の実験を行う。 2) システム統合および動物評価実験、基礎的臨床応用、評価 手術において不必要な郭清・広範囲切除を避けるため、低侵襲診断における基礎技術の融合とシステムの統合の研究開発では、専門医や連携研究者との議論を行い、ファントム実験・動物実験による評価を繰り返すことで完成度を臨床のレベルまで高めていく。本研究の臨床応用にあたっては、低侵襲外科治療技術と蛍光イメージング計測技術を融合させることで、リンパ節転移を正確に同定することにより、不必要な郭清・広範囲切除を避けることのできる局所治療システムの実現を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本補助金で開発したシステムの性能比較評価を行うため、内臓器官とリンパ節のモデルを製作する。また、試作デバイスとPCとのインターフェース等開発のために制御用電子部品を購入し製作する。計測装置等開発のために機械部品を購入し製作する。また、本研究遂行のためにリンパ節、蛍光計測等に関する資料収集、調査が必要。モデル等の製作、実験に研究補助を依頼する必要があるため、謝金等の支払いを予定している。
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