2012 Fiscal Year Research-status Report
医用画像誘導下手術支援ロボットのための新しいアクチュエータ
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24650290
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
正宗 賢 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00280933)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 機械要素 / 生体医工学 / アクチュエータ / 非磁性 / 冷凍固定 / ペルチェ素子 |
Research Abstract |
現在,豊富な情報を持つMRIの撮像環境下で駆動する治療用メカトロニクス機器が注目されている.これはMRIの画像情報を定量的に扱うことによる,安全・安心な医療の実現が期待されるからであるが,最適化には高精度ロボット技術による機械システムが不可欠であり,従来にないアクチュエータが必要となる.強磁場環境であるMRI下で駆動する機器の要は,既存のメカトロニクス機器の非磁性化である.そこで本研究では,これまでに無い非磁性アクチュエータとして,駆動機能と制動機能を兼ね備えた小型アクチュエータの原理の提案・試作評価を行う. 本年度は,基本原理の確認や問題点の抽出を行うために,原理モデル試作機の開発および材料選定等の評価を行った.具体的には,空圧駆動機構と冷凍固定機構を組み合わせたアクチュエータの設計を3D-CADを用いて行い,3Dプリンタを用いて樹脂材料によりアクチュエータの試作を行った.また駆動機構として,我々の開発してきた空圧ステッピングアクチュエータを採用した. 冷凍固定機構については,ペルチェ素子を二枚重ねることにより冷却効率を上昇させる.アクチュエータ内部の水が外部へと漏れないようシールを行うために,Oリングおよびオイルシールを用いた.ペルチェ素子による吸熱・水凍結を行う冷却プレートとして銅板を用い,またペルチェ素子の発熱面での放熱を行うためにヒートシンクを取り付けた.さらに,放熱効率を上昇させるためヒートシンクに圧縮空気を送る機構を付与した. 本年度は機構検討を重視したため材質選択余地が無かったが,今後はエンジニアリングプラスティック板や非磁性金属板等も各種検討し,それぞれの固定力についての基本性能の計測・確認を行い,問題点を明らかにすると同時に最適な材料の選択を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の実施計画では,回転・制動可能な非磁性アクチュエータの機構の考案および評価を行う予定であった.完全なる非磁性版を開発する前に,まず磁性材料等には拘らずに冷却効率重視の開発を行った.ただし,取扱いの困難性および実用化の観点から,窒素ガスの導入は今年度は見送った.よって,ペルチェ素子による冷却凍結に注力た.試作過程においては,ヒートシンクを更に冷却するためのファンの取り付けをする等の試行錯誤を行い,また排熱流路などの工夫を行ってきており,ノウハウの蓄積や成果は十分にあるといえる.しかしながら,評価のための温度計測については正しい計測が可能なようにセンサの選定等を行ったが,十分な計測手段を選定するのが遅れ,現在それらの測定精度を検証中である.この点は問題点であり計画より若干遅れをとっていると考えるべきだが,評価が終了することで全体的には順調に進展するものと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要および達成度に記載した通り,提案した新しいアクチュエータのプロトタイプ開発を行ってきたが,今後は精度の高い評価,冷却効率の更なる向上および非磁性化を進める.また,安全性の確保を確認したのち,窒素ガスによる実験も行い,純粋に新しいアクチュエータとしての最高スペックを検討する.また,使用する材質として,エンジニアリングプラスティック板や非磁性金属板を各種用意し,それぞれの固定力についての基本性能の計測・確認を行い,問題点を明らかにすると同時に最適な材料の選択を行う.またさらに,本アクチュエータを用いた1もしくは2自由度のロボットの試作を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は構想・設計に十分に時間を掛け,試作についても3Dプリンタの活用によって,より低コストで実験を重ねることが出来たため,予定よりも繰り越し研究費が生じた.今年度,冷却手段として安全性と実用性を考えて窒素ガスは用いずにペルチェ素子に絞ったが,やはり,より高い応答性を求めるための試作も行う必要があると考え,そのための機材・材料の追加購入の検討を行う.また,本年度は本格的な試作およびロボット試作までを行う予定であり,外注部品を多くすることにより,当初通りの予算計上で進める計画である.
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