2014 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤のX線吸収特性を利用してガン患部を選択的に照射できる体内挿入型針状単色X線源
Project/Area Number |
24650291
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小栗 慶之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (90160829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 純 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90302984)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 浸潤性ガン / 低侵襲ガン治療 / 陽子線励起準単色X線 / K吸収端 / 注射針 / 静電加速器 / 電子増倍型高感度カメラ / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,まず実験と計算の結果をより詳細に比較検討するため,入射陽子線の軸に対するX線検出器の角度を変化させながらX線強度を測定し,X線の放出角度分布を直接測定する実験を行った.注射針先端のモリブデン標的の形状も変化させ,X線放出角度分布への影響を調べた.この体系に対し,モンテカルロシミュレーションコード,PHITSによるX線放出角度分布の計算も行った.これらの実験と計算による角度分布の形状がほぼ一致したことにより,PHITSによる計算の妥当性を確認し,また今後標的寸法形状の最適化にこの計算手法が有効に利用できることが明らかとなった.さらに微粒子状増感材の作製について,粒子のサイズ,増感材原子の濃度,二次電子の飛程等を元に定量的な検討を行ったところ,少なくとも顕微鏡観察が可能なサイズの微粒子では,内部で発生した二次電子が効率良く外部に出てシンチレータに到達しないため,実験が困難であることが分った.そこで代りに一次X線によって生じる二次電子の飛程よりも十分薄い厚さ0.1ミクロンの金箔を用いることにした.この金箔をイメージングプレート上に置き,陽子線励起のモリブデンKX線を照射したところ,金箔の周囲で線量が明確に増加することが分った.一次X線によるバックグラウンド線量と光電子・オージェ電子を含む二次電子発生による線量を考慮した簡単な計算結果と比較したところ,この線量の増大には低エネルギーオージェ電子のカスケードが大きく効いている可能性があることが分った.一方,液体シンチレータを満たした小型容器に注射針を挿入し,先端のモリブデン標的に陽子線を照射してX線を発生し,針先端周辺の発光強度分布を高感度カメラで測定する実験を行った.しかし発光強度の不足及び迷光によるバックグラウンドのため,二次電子によるシンチレータの発光を確認するには至らなかった.
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