2012 Fiscal Year Research-status Report
フルオラスケミストリーに基づく次世代バブル製剤の開発
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24650299
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロバブル / フルオラスケミストリー / 超音波 / セラノスティックス |
Research Abstract |
高度にフッ素化された化合物がフルオラス溶媒に良く溶けるというフルオラスケミストリーのアイデアから、パーフルオロカーボン(PFC)ガスにフッ素含有脂質誘導体を用いれば、安定なミセルつまりバブル製剤を開発できると考えた。そこで、フッ素含有脂肪酸とホスファチジルコリンによってエステル結合反応を行い、1-palmitoyl-2-(16-fluoropalmitoyl)-sn-glycero-3-phosphocholine (F-DPPC) を化学合成した。反応が非常に難しく、収率は40%程度で純度は80%であった。F-DPPC、DSPC、DSPE-PEG2k-OMe を50: 44: 6(モル比)からなるリポソームを作成して、超音波ホモジナイザー法でパーフルオロプロパン(C3F8)ガスを封入したバブルリポソームを調製した。その結果、バブルリポソームのC3F8 保持量は、F-DPPC を用いることによって8.1±2.5 μL/mg lipidから20.3±8.5 μL/mg lipid へと高い封入量を示した。フッ素含有脂質誘導体を用いることにより、C3F8ガスの封入量が高まることが証明された。また、in vitroの系で超音波造影が出来ることを確認した。しかし、本バブルリポソームを大気圧の条件下で3時間放置した後のガス保持量は1 μL/mg lipidに減少した。これは、F-DPPCの有無に係わらず同様の結果になるので、F-DPPCにC3F8ガスの持続的な保持能があるわけではない。従って、凍結乾燥して、用時調製で使用する製剤化が重要であると結論された。内封するガスをパーフルオロブタン(C4F10)ガスに変えたところ、封入量の増加が見られ、今後詳細に検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フッ素含有脂肪酸とホスファチジルコリンによってエステル結合反応を行い、1-palmitoyl-2-(16-fluoropalmitoyl)-sn-glycero-3-phosphocholine (F-DPPC) を化学合成した。反応が非常に難しく、1,2-(16-fluoropalmitoyl)-sn-glycero-3-phosphocholine (2F-DPPC)の合成の合成が困難である。F-DPPC、DSPC、DSPE-PEG2k-OMe (50: 44: 6モル比)からなるバブルリポソームにすることによって、パーフルオロプロパン(C3F8)ガス封入量が増加し、造影能があることが示された。しかし、大気圧下(製剤を開封し放置することを想定)では3時間後にほとんど消失してしまい、保持能は無かった。F-DPPCの合成が難しく、やや遅れ気味であるが、Fの量によってC3F8ガスの封入量が増加することは、フルオラスケミストリーのアイデアが正しいと言える。パーフルオロブタン(C4F10)ガスに変えたところ、封入量が増えた。F同志の相互作用が高いからかもしれないが、興味ある結果であり、今後詳細な検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
F-DPPC、2F-DPPCの合成を進め、DSPCとDSPE-PEG2k-OMeの脂質組成を基本として、これらにF-DPPC、2F-DPPCの混合比を変化させて、C3F8ガスまたはC4F10ガスでバブルリポソームとし、バブリポソームのサイズ、ガスの封入量、造影能、キャビテーション能力を評価する。用時調製して使用する製剤化が重要であることから、凍結乾燥を検討する。凍結乾燥を行う際のバブルリポソームの安定性を高めるために、スクロース溶液で調製する。復水後のバブルリポソームについて、同様にパラメーターを求めて、凍結乾燥前と後の比較を行う。診断用超音波(マウス用7-20MHz)で、持続的なオシレーションの可能性を観察し(現有装置)、血流イメージングを撮る。各種調整されたバブル製剤について、血中滞留性や血中安定性、さらに体内分布をガスクロマトグラフィーにてPFC濃度で精査する。長時間にわたって血流イメージングを撮影できる処方条件を見出す。ファントムゲルまたはマウスの摘出肝臓組織にバブル製剤を注入し、治療用超音波(マウス用1MHz)を照射して、照射部位の温度上昇をセンサーで観測する。各種調製されたバブル製剤について、65℃以上の温度上昇が得られる処方を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究施設と設備について、これまでのバブルリポソームの研究に使用した機器があり、多くの必要な機器は揃っている。細胞培養施設および動物施設も完備している。研究成果の論文発表に係わる経費と研究成果の国際会議での発表に旅費が必要である。多くは、材料費と消耗器具の消耗品費になる。
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