2013 Fiscal Year Research-status Report
リハビリテーションにおけるやる気の効果 ~神経科学的検証~
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24650308
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中澤 公孝 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90360677)
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Keywords | 動機付け / 可塑性 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、リハビリテーションにおける患者のやる気を高める言葉かけが帰結に与える効果とその脳神経科学的機序を明らかにすることであった。この目的に迫るために、本申請課題では運動課題学習過程における課題成功時の指導者による言葉かけ(賞賛)や金銭的報酬が中枢神経の可塑的変化を促進するのか否かを検証することを目標とする。既に先行研究によって確立された脊髄反射学習課題を用い脊髄反射回路の可塑性が言葉や金銭的報酬による動機づけの有無に影響されるのか、神経生理学的手法を用いて実証しようとするものである。当該年度は健常者を対象とし、1)金銭と言葉による成功報酬を伴う運動学習がそれらを伴わない運動学習に比べて学習効果が高いのかを検証すること。そして、2)その時の脳活動、特に報酬系の活動亢進があるのかを明らかにすること、が目標であった。これらの目標1)に関して、本年度は健常者を対象とし、機械的刺激を用いて誘発するヒラメ筋伸張反射がトレーニングを通じて増減させることができるのかを確認する実験を行った。その結果、伸張反射を増大させるUp groupでは、練習中に増大させることができること、down groupでは逆に減少させることができることが確認できた。しかし、週3から4日程度のトレーニングではトレーニング期間中の増加傾向あるいは減少傾向を確認することができなかった。しかし、練習中の増加あるいは減少傾向は電気刺激によって誘発されるH反射に比べて大きいことも分かった。伸張反射誘発装置の故障によって統計検定に堪え得る被検者数を確保することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、ヒトの運動学習課題遂行中の結果に対する褒め、賞賛などの言葉かけ、あるいは金銭報酬が脳の報酬系を腑活し、それが中枢神経系の可塑性を高めるという仮説を検証することを目的とする。この仮説を検証するための実験系として、次の実験を計画した。第一にWolpawらが確立した脊髄反射(H-反射)学習課題を用いる。脊髄反射増加あるいは減少課題実施中に一回ごとの脊髄反射結果を、検者からのほめ言葉や金銭報酬として被検者に与え、その効果を調べる。これを数週間行い、その長期的効果を明らかとする。本年度は伸張反射誘発装置を用い、機械的に誘発する伸張反射の増減実験を行う予定であった。しかし、実験の途中、伸張反射誘発装置が故障し、実験の継続が不可能となった。そのため、十分な実験データを取得することができず、研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は既に実験方法が固まりデータ収集を行うのみであった。しかし、想定外の装置の故障により実験実施が中断した。現在では装置の修理がほぼ終了し、実験再開が可能となっている。今後は、被検者の募集を再開し、他の研究者との装置使用予定を調整し、実験を再開する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度実施予定の実験が装置の故障のため、実施を一時中断せざるを得なくなった。そのため、実験消耗品、被検者謝金、実験補助者謝金などの仕様計画が大幅に変更され、次年度に繰り越された。 実験の再開に伴い、実験用消耗品、被検者謝金、実験補助者謝金などを適宜執行する。
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Research Products
(1 results)