2012 Fiscal Year Research-status Report
新規間葉系幹細胞を移植する機能回復を目指した骨格筋再生治療への挑戦
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24650313
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥橋 茂子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90112961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨格筋 / 再生 / 移植 / ES細胞 / iPS細胞 / 細胞分化 / 再生 |
Research Abstract |
申請者はマウスES細胞から、間葉系幹細胞を効率よく分化誘導し、採集する方法を確立して報告した(Differentiation 2011)一般に、間葉系幹細胞は脂肪、骨、軟骨には容易に分化するが、骨格筋には分化誘導が難しいとされている。しかし、新規間葉系幹細胞は生体外で骨格筋への高い分化能を示した。 従って骨格筋再生に向けての移植用細胞資源として有用であると考えた。 本研究の目的は、申請者の開発した新規間葉系幹細胞を用いて、生体内における分化効率を検証し、その移植効果を組織学的に解析すると共に、骨格筋の機能回復を歩行時の機能的解析から明らかにすることを目的としている。これまでの報告の多くは、移植による生着率、分化率による評価が多く、実際に移植細胞がどの程度機能回復に資するかについて詳細に解析したものは極めて少ない。 本研究はリハビリテーション(理学療法)の観点から移植効果の有効性を検証することが大きな研究テーマになっている。 昨年度は、前脛骨筋に物理的な損傷を加えた筋損傷モデルマウスを作成した。これは一定の圧力で一定時間鉗子を用いて筋を挟み込み画一的な損傷を与える方法である。手技は簡単で安定しているため、移植効果の解析にバラツキが少なくなった。このモデルマウスへの移植方法は、大きく二通りある。一つは血管を介する移植で、尾静脈より間葉系幹細胞を注入する方法である。これは患部に一定数の細胞を集積させるには大量の移植細胞が必要であった。そこで直接患部への移植を試みたところ、血管を介する移植法に比べて約1/10量の細胞で効果が見られた。従って患部への直接移植法を採用した。 また、移植の時期についても検討したところ、筋損傷24-48時間で炎症がピークに達し、この時に移植することで移植細胞の生着率を向上させることができた。今後は本方法により移植の効果の解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は予定した実験を遂行し、筋損傷モデルマウスの作成、移植方法の確立、移植時期の決定を行うことができた。 また組織学的な筋再生過程のデーターも収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は「機能の回復」を実際の歩行運動を解析することで検討する。 前脛骨筋の座滅損傷はマウスの全身的な機能を損なうものではない。 体重の減少、食欲の低下等は認められず、約5週間で組織学的に筋の損傷は回復した。それに伴って歩行機能も回復するものと考えられるが、この機能の回復状況を詳細に解析したデーターはほとんど見られない。 そこで、CatWalk (Noldus 社)を使用して、歩幅(ゲイト)、足底接地状況(フットプリント)をビデオによりとらえて、解析する。モデルマウスは損傷後、歩行は早期に回復するようにみえるが、実際のCatWAlkによる測定結果では約5週間の回復期間を要することが分かった。 今後移植による回復状況を、非移植群と比較検討して、移植の効果を機能面から解析していく。データーが集まったところで、学会発表、論文発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は消耗品を中心に研究費を使用する。 また学会発表のための旅費や論文発表のための費用を計画している。
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Research Products
(17 results)