2012 Fiscal Year Research-status Report
実時間光覚シミュレーションによる大脳皮質刺激型視覚再建の検討
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24650314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥野 弘嗣 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30531587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚再建 / 光覚 / シミュレーション / 画像処理 |
Research Abstract |
本研究は,電気刺激によって惹起される光覚の実時間シミュレータを開発し,限られた入力数で脳に効率よく視覚情報を伝達する方法を検討することを目的としている.本年度は,「視覚野電気刺激と光覚知覚の対応関係(位置・サイズ・時間等)の確立」,並びに「光覚シミュレーションアルゴリズムの開発」を行った. 電気刺激と光覚知覚の関係は,定量的に測定することができないため,ヒトを被験者とした臨床実験や,実験動物を利用した生理学実験を報告した過去の文献から,この関係付けを行った.ヒト視覚野に対する電気刺激実験では,脳表上の刺激位置と,知覚された光覚位置の関係や,刺激電流の強度・周波数・持続時間と,光覚の明るさ・サイズ・時間変化等との関係が測定されている.また,ヒトに対する実験のように,知覚のされ方を直接確認することは出来ないが,動物の視覚野電気刺激に対する細胞の時空間応答特性からは,刺激電流と細胞応答の関係を詳細に検証することができる.ヒトに対する臨床実験(例数は少ないが,刺激と知覚の関係が検証できる)と,動物に対する生理学実験(例数は稼げるが,細胞応答と知覚の関係は類推を要する)の知見から,電気刺激と光覚知覚の対応関係を確立した. また,上記で確立した電気刺激と光覚の関係を基に,光覚シミュレーションアルゴリズムを開発した.このシミュレーションアルゴリズムには,刺激電流の強度・持続時間・周波数を変化させた際の光覚の明るさ・サイズ・持続時間の変化を組み込んだ.更に,刺激位置の選定方法も,輪郭抽出や明暗の閾値処理等,複数用意した.本年度は,アルゴリズムをラップトップPCに実装したが,次年度以降に,組み込みデバイスに実装される予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に掲げていた,「視覚野電気刺激と光覚知覚の対応関係(位置・サイズ・時間等)の確立」,並びに「光覚シミュレーションアルゴリズムの開発」が完了しているため,概ね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究で確立したシミュレーション用アルゴリズムを,小型のハードウェアに実装する.ディジタル処理が苦手とする空間処理は,画像処理専用のアナログ回路を作製し,これによって効率よく行う.回路設計にはワークステーションが必要である.また,ディジタル部でもFPGA(field programmable gate array、プログラム可能なディジタル回路)を活用することにより,処理を並列化する.これにより,高速動作を実現する. 次に,上記シミュレータを用いて,様々な場面でパラメータを変化させながら心理物理実験を行うことにより,人工視覚システムの要件を探る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレーションアルゴリズムを実装するための回路部品の購入に充てる.
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Research Products
(2 results)