2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鳥取部 光司 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80284842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
濱田 浩朗 宮崎大学, 医学部, 助教 (40363593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 義足 / 有限要素法 / 動作分析 |
Research Abstract |
下腿切断者の力学的評価として動作解析による荷重を考慮し、有限要素法を用いて2種の義足ソケットモデルを作製し、接触圧分布の比較検討を行った。 有限要素モデルは、左下腿切断者のCTスキャンの座標値を基に、二次元座標値を三次元的座標値への修正、組換えを行い、大腿骨遠位部および脛骨近位部よりなる三次元下腿切断モデルを作製した。モデル作成後、皮質骨、海綿骨を区別した詳細な分割を行った。下腿義足は、ライナーをモデル化した。まず、荷重条件として、文献を参考に、膝関節部に荷重応答期、立脚中期、立脚終期の荷重を与えた。圧力は、荷重応答期で高く、立脚中期で低い傾向がみられた。次に、実際の下肢義足歩行における三次元動作分析と床反力装置を用いて、歩行、立ち上がり、階段の各動作を測定した。階段昇降動作は、床面と下から1・2段目に床反力計6枚を使用した3段の階段を作製した。階段昇降動作の荷重条件としては、立脚期を三期に分け、各期の膝関節部のフォース・モーメントのピーク値を採用した。拘束条件としては、ライナーの外面を全方向拘束とした。ライナーと断端皮膚との境界部は、接触として扱い、各モデルに荷重を加え、ソケット-断端間における圧力分布について比較検討した。 全面接触式のソケットでは、歩行、立ち上がり、階段昇段時においても、断端の表面全体に分散した圧力分布を示した。 また、主に下腿義足に関する文献検索、データの幾何・物質特性値データ収集、解析結果と臨床との妥当性の検討を行った。X線学的観察として、下腿義足ソケット装着し、義肢側片脚起立における脛骨断端とソケット底部の距離を計測した。非荷重時の値から、荷重時の値を減じた断端移動距離は、有限要素法におけるモデルの移動距離と一致しており、下肢の動態と実験結果と比較検討し、妥当なモデルであることを確認し、基本的な実験結果は国内の学会において報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三次元動作解析装置および有限要素法を用いて、義足の動作測定および三次元モデルを作成し、解析を行い、現在までにモデル作成・部分的なモデル修正の補助、義足に関連する文献検索、下肢および義足データの幾何・物質特性値データ収集、実験の解析手法・解析結果と臨床との妥当性の検討を行った。また、断端部のソケット耐圧疼痛域値を評価するため、ハンディー型筋力測定器の先端部に円形状のシリコンを取り付けて、疼痛域値圧の簡易測定を行った. 用手的に下腿に圧力を加え、軽い疼痛の生じ始めた時の疼痛閾値の圧力を測定した。疼痛域値圧は、膝蓋腱部周辺、脛骨前内側面、脛骨前外側面、下腿後面では比較的高く、腓骨頭部、断端末端領域で低く、敏感な傾向が見られたが、有限要素法の結果における接触圧は低値であることを確認した。 研究は、実際の運動解析と義足ライナーと断端皮膚との境界部を接触とした義足有限要素法により、歩行、立ち上がり、階段昇降動作における2種の義足の高精度の接触部位と動態を推察できておりおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までは、事例的に解析した報告であるため、今後は、切断者の義足歩行データを多く収集して解析を継続していく予定である。 解析時間は、義足モデルでの接触解析ため、時間を要し、また日常生活動作における荷重の変化による様々な解析を複数モデルで行わなければならないため、サーバーと共にクライアントコンピュータを同時に使用する必要がある。 作成・解析に用いるコンピュータは、解析時間が長期となるため、大規模解析が可能なWorks Station PCを使用する。実際の下肢義足歩行における三次元動作分析と床反力装置を用いた分析および義足と断端皮膚との境界部の接触圧を同期させて歩行、立ち上がり、階段、ジャンプ等の各動作において測定し、解析結果と実際の動態が一致するかを確認する。 次に航空機開発の解析で用いられている動態解析ソフトを使用し、時間・荷重曲線による荷重方法を変化させ。様々な荷重パターンを加え、切断端の三次元応力分布から傷害、損傷部位を推察する。実験結果は国内外の学会において報告を行い、国際誌に投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を実施するために使用しているコンピュータは、現有の物を使用してきたが、有限要素法モデルにおける詳細な三次元義足モデルの解析時間は大規模となり、解析時間は長期となるため、サーバーと併用して使用するクライアントコンピュータを設備備品費として必要とする。また、作成および解析に用いるコンピュータの解析結果が膨大なデータとなり、またモデル別・荷重別に保存の必要性があるため、記憶装置としては、バックアップ可能な複数のハードディスクを購入する。 遅滞なく研究を進めるため、バイオメディカルエンジニアリング研究センターとの打ち合わせ、および国内外の学会における研究成果の報告、論文作成に旅費・謝金を必要とする。
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Research Products
(3 results)