2012 Fiscal Year Research-status Report
加齢にともなう排尿障害への早期薬物リハビリテーション介入
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24650321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮里 実 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (70301398)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アンチエイジング / 排尿 |
Research Abstract |
加齢に伴う膀胱機能障害の特徴は、過活動膀胱と低活動膀胱という相反現象の併存状態であるが、有効な治療法が無い。本研究では、老齢ラットと若年ラットの膀胱機能の違いを排尿生理実験、神経薬理学的実験、免疫組織学的実験および分子生物学的実験を組み合わせて詳細に検討し、加齢にともなう膀胱機能の経時的変化を明確にすることを目的とした。 ウレタン麻酔下に連続膀胱内圧測定を行い排尿のパラメーターを比較した。膀胱のコネキシン43 (膀胱平滑筋細胞間結合蛋白)蛋白定量を行った。 結果、1) 膀胱内圧測定では、老齢ラットは若年ラットと比較して最大膀胱収縮圧が低下して残尿が増加していた。 2)分子生物学的解析では、老齢ラットは若年ラットと比較して膀胱のコネキシン43 (膀胱平滑筋細胞間結合蛋白)蛋白が低下していた。 膀胱のコネキシン43蛋白は、平滑筋細胞のペーシング(ペースメーカー)としての役割があり、日内変動または生涯変動があることが示唆されている。したがって、本研究の結果は、低活動膀胱の原因が膀胱平滑筋細胞間結合蛋白が加齢とともに低下することにあることが示唆される。過活動膀胱を代償性機転、低活動膀胱を非代償性機転として経時的変化と捉えることができる。加齢に伴う排尿障害を早期に予防できればアンチエイジング方向での新たな薬剤の開発へ発展する可能性があり、その意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、老齢ラットと若年ラットの膀胱機能の違いを排尿生理実験、神経薬理学的実験、免疫組織学的実験および分子生物学的実験を組み合わせて詳細に検討し、加齢にともなう膀胱機能の経時的変化を明確にすることを目的とした。 初年度に、生理実験(膀胱内圧測定)と分子生物学的実験(膀胱のコネキシン43 蛋白)定量を行い、老齢ラットは若年ラットと比較して最大膀胱収縮圧が低下して残尿が増加していること、膀胱のコネキシン43 (膀胱平滑筋細胞間結合蛋白)蛋白が低下している結果を得たことこは、今回の仮説の根幹となる結果でその意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アンチエイジング方向での創薬の開発を目的とした研究に発展させたい。特に、膀胱ギャップ結合を増加させる薬剤または物質が同定できれば、加齢に伴う排尿障害を早期薬物リハビリテーションで予防できることが可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も引き続き、加齢に伴う排尿障害発生の機序の解明のために研究費を利用する。さらに、糖尿病やメタボリック症候群モデルラットの膀胱機能変化を経時的にみた報告でも、当初は過活動膀胱から、やがて低活動膀胱に至る一連の変化が示唆されている。新たな科学研究費の獲得が得られれば、さまざまな原因で低活動膀胱に至る原因を根本的に究明する。
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Research Products
(11 results)