2013 Fiscal Year Research-status Report
加齢にともなう排尿障害への早期薬物リハビリテーション介入
Project/Area Number |
24650321
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮里 実 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (70301398)
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Keywords | 加齢 / 膀胱 / 排尿筋低活動 / 残尿 / ギャップ結合 |
Research Abstract |
加齢に伴い頻尿や尿失禁を伴う過活動膀胱の状態と、一方で膀胱の収縮力が低下する排尿筋低活動の状態を合併する。この相反する現象が加齢に伴う膀胱機能障害の特徴である。そこで、加齢に伴う膀胱平滑筋細胞間結合(ギャップ結合)の変化に着目して、若年ラットと老齢ラットを用いて加齢にともなう排尿障害メカニズムの解明を行った。 SD雌性ラット3か月齢(若年ラット)と12か月齢(老齢ラット)を使用した。ウレタン麻酔下に両群の連続膀胱内圧測定を行った。ウレタン麻酔下に、若年ラットを用いギャップ結合乖離薬(Carbenoxolone 3×10-3mol/L)を膀胱内注入して等容量性膀胱内圧測定を行った。膀胱内のギャップ結合蛋白 (Connexin 43)をwestern blot法を用いて2群間で比較した。膀胱の形態変化をMasson染色で、connexin 43蛋白の変化を免疫染色で確認した。 結果、1)連続膀胱内圧測定で、老齢ラットでは、若年ラットと比較して膀胱収縮圧が27%低下して残尿量の増加を認めた (p <0.01) 。2)若年ラットによる等容量性膀胱内圧測定で、ギャップ結合乖離薬膀胱内注入後、収縮圧は徐々に減弱し消失した。ギャップ結合乖離薬をWashoutすると、膀胱収縮は再開した。3)若年ラットに比べ、老齢ラットではconnexin43蛋白濃度が減少した(p < 0.01)。4)老齢ラットでは、若年ラットと比較して膀胱平滑筋が肥大、間質の線維化が増加した。 ギャップ結合蛋白の減少は、加齢にともなう排尿障害(排尿筋低活動)発生の原因の一つと考えられる。ギャップ結合乖離薬の膀胱内投与が膀胱収縮を減弱させたことから、膀胱ギャップ結合は、平滑筋細胞の細胞間伝達に重要な役割を果たしていることが示唆される。以上より、加齢に伴う排尿筋低活動は、膀胱ギャップ結合の低下により膀胱収縮の細胞間伝達が障害され引き起こされることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24-25年の動物実験において、生理実験、薬理実験、分子生物学的実験、組織実験を行った。結果、膀胱ギャップ結合は、平滑筋細胞の細胞間伝達に重要な役割を果たしていること、加齢にともなうギャップ結合蛋白の減少が、排尿障害(排尿筋低活動)発生の原因の一つである可能性が予定通り解明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、排尿筋低活動の発生機序となる膀胱平滑筋の分子生物学的、生理学的変化をさらに2年(24カ月齢ラット)まで延長して検討する。PDE-5阻害薬、α遮断薬等の血流を改善する薬剤を使用して、アンチエイジング方向での創薬の開発、早期薬物リハビリテーションが不可逆的排尿筋低活動を予防できるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24-25年度の研究で排尿筋低活動の原因が解明できたが、経時的変化の解明はまだ施行できておらず、平成26年度最終年度まで研究を継続する必要がある。当初から次年度(最終年度)に500,000円計上、前年度未使用額229,268円と合計して729,268円が次年度使用額となる。 成果発表の場として国内学会1回、国際学会の旅費をそれぞれ1回計上、その他ラット、薬品代の消耗品で使いきる予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Impact of prostate size on urinary quality of life scores after open radical prostatectomy: A single-center experience2014
Author(s)
Miyazato M, Kaiho Y, Mitsuzuka K, Yamada S, Namiki S, Saito H, Ito A, Nakagawa H, Ishidoya S, Saito S, Arai Y.
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Journal Title
Scand J Urol
Volume: 48
Pages: 146-52
DOI
Peer Reviewed
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