2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650328
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
今泉 敏 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土師 知行 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (20145147)
中村 文 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (10709629)
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Keywords | 嚥下機能 / 摂食機能 / 非侵襲的嚥下機能検査 / 脳機能 / 食物認知機能 / 事前情報 / 主観評価 / 味認知 |
Research Abstract |
適正な嚥下リハビリテーションを行うために必要な非侵襲的嚥下機能検査方法の確立を目的として、1)~3)の研究を遂行し、以下の成果を得ることができた。 1) 非侵襲的嚥下機能検査装置の試作:喉頭の上外側から光を当てて声門の下外側に漏れてくる光量を計測することによって嚥下時の声門閉鎖の程度を評価する検査装置に加えて、嚥下時の耳管閉鎖・解放音を検出する方法、耳管の開閉を光で検出する方法を検討し、非侵襲的嚥下機能検査方法の確立を試みた。 2)摂食・嚥下の脳機能解析:食べ物や飲み物に関する事前情報提示が摂食・嚥下の脳機能にどのような影響を及ぼすかを研究した。「広島産」、「チリ産」という産地情報を直前に提示し、2種類のレモン飲料をランダムな順序で研究協力者に飲んでもらい、味と飲みやすさを評定してもらった。その結果、産地情報は飲み物のうまさに有意に影響し、飲みやすさには影響しなかった。このような効果が生じる脳活動をfNIRSで解析している。 3)認知機能と嚥下機能の関連に関する研究:認知症などによって食物・飲料認知機能が低下した場合、食べ物や飲み物に関する事前情報提示がどのような効果を持つか、非侵襲的方法で研究した。その結果、若年者は事前情報が不正確でも正常な嚥下運動が可能であったものの、高齢者では嚥下反射に変調が生じることを明らかにした。認知機能の低下によって飲食物の認知が不正確になった場合、高齢者では摂食・嚥下運動にも影響することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非侵襲的嚥下機能検査装置は試作できたことに加えて、健常者でも飲み物に関する事前情報が摂食時の味認知に有意な影響を示すこと、飲み物摂取時の嚥下機能を非侵襲的に調べて認知機能の低下が高齢者では摂食・嚥下運動にも有意に影響することを明らかにできたこと、今年度の目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者の負担ができるだけ少ない非侵襲的嚥下機能検査法を使用して認知機能に課題を抱える高齢者の摂食・嚥下機能を研究する。そのために、1)現在開発中の正確なタイミングで飲料を研究協力者に提示する装置を完成させる。2)非侵襲的嚥下機能検査法と飲料提示装置を使用して、事前情報が正確な場合と不正確な場合の摂食・嚥下運動とそれを制御する脳活動を解析する。3)3年間の研究を纏めて、嚥下機能を非侵襲的に検査できて適正な嚥下リハビリテーションを行うために必要な非侵襲的嚥下機能検査法を確立する。従来困難であった認知症高齢者の摂食・嚥下機能の解析に有用な成果を蓄積する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
正確なタイミングで飲料を研究協力者に提示する装置の試作が遅れたため、fNIRSによる脳機能の研究に着手できなかったため、執行残が生じた。 今年度は、正確なタイミングで飲料を研究協力者に提示する装置を完成させて、fNIRSとfMRIを使用した摂食・嚥下の脳機能の研究を行うために使用する。
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Research Products
(6 results)