2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650330
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40157540)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 嚥下 / バイオメカニクス / 咽頭壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
嚥下時の咽頭壁運動のバイオメカニクスを解明するために,高速cine MRIによって嚥下時の咽頭壁の形態変化を解析し,咽頭壁の筋構造と対比しながら,咽頭壁の動きについて考察した.cineMRIの矢状断面像からみた嚥下運動の解析では,舌根と咽頭壁が互いに接して食塊を包み込んで食道側に送りこんでいる. この間,喉頭蓋は反転して喉頭口をふさぎ,食塊が喉頭内に侵入するのを防いでいる.水平断面像の解析では,咽頭壁は主に側方から内腔が狭められる.この時期,咽頭は拳上(短縮)し舌根も後上方に移動する.そのため割断面を喉頭蓋上部に固定したcineMRI水平面像では,観察部位の咽頭壁は時刻と共に変わるが,他の断面でも空間の狭まり方は同様であった.すなわち咽頭腔は側方を中心に狭くなっていた. 咽頭腔の収縮は,上・中・下咽頭収縮筋が担う. 嚥下の咽頭期では,舌骨と甲状軟骨は舌骨上筋群と甲状舌骨筋によってまず上方に次いで前方に移動し,さらに下方への回転運動も加わる.一方,咽頭縫線部にはそれほどの可動性はない.そのため中咽頭収縮筋と下咽頭収縮筋は前方に牽引された状態でさらに収縮するので,咽頭腔には主に側方からの狭め圧がかかるものと思われる. 咽頭腔の狭めに加えて,咽頭腔が軟口蓋側に向かって短縮する動きもみられる.この動きの主体は,軟口蓋を起始にして下走し咽頭粘膜下に広く分布する口蓋咽頭筋と,頭蓋底の茎状突起を起始として下走し,下咽頭側壁に停止する茎突咽頭筋であると考えられる.口蓋咽頭筋によって下・中咽頭壁は軟口蓋側に牽引され,上下方向の粘膜の緊張は緩み,その緩みは咽頭収縮筋が緊張して咽頭腔を側方から狭めるのを容易にする.また口蓋咽頭筋や茎突咽頭筋には,下咽頭にポケット状にある梨状陥凹の空間を狭めて食塊が貯留しないようにする働きもあると思われる.
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