2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
原 貴敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40619889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 修 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30256466)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 高次脳機能障害 / 失語症 / 注意障害 / 脳卒中 / 脳血流 |
Research Abstract |
本年度は、高次脳機能障害に対する適切な磁気刺激部位の同定が必要と考えた。そのため、被験者と病変の統一、磁気刺激方法の統一が必要と考えた。本年度は脳卒中後失語症患者に対する磁気刺療法患者を対象に、その画像的変化と言語機能、注意機能の変化を検証した。磁気刺激方法は、われわれの研究グループで実施している方法に準ずる(Abo M, Kakuda W et al . Eur Neurol 2012)。fMRI下で反復復唱課題を実施し、言語活動部位を同定し、大脳半球間抑制の原理から言語活動部位の一層の活動を引き出すことを狙い、その対側に低頻度磁気刺激と集中的言語療法を実施した。入院時、退院3ヶ月後に言語機能評価、ECD-SPECT、可能症例にはTMT-A,Bを実施した。 対象症例は、慢性期脳卒中後失語症患者40人(全て左病変患者)。刺激部位はfMRIに基づいた結果から、右上側頭回(11人)、左上側頭回(9人)、右下前頭回(13人)、左下前頭回(7人)に実施した。言語機能は対象患者において優位なSLTAの改善を示した。入院時、退院3ヵ月後のSPECT画像を解析し、そのLatelality index(L.I.)を計算した。そして、ブロードマン領域のうち、言語関連領域のL.I.の変化率とSLTAの聴く、話す、読む、書くの4項目との相関関係を統計学的に解析した。この結果右上側頭回では書くが、左上側頭回では話すと読むが、右下前頭回では聴くと書くが、左下前頭回では全ての項目で言語関連領域と有意な相関関係を示した。しかしながら、多重比較では有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、磁気刺激療法による高次脳機能障害の改善を図れないかの検証である。注意障害、発動性の低下がある患者に対し、効果的な磁気刺激療法がないか検討しているが、脳卒中後の統一した病変、症状の確保も問題から、その実証には至っていない。また本年度の被験者で可能な患者には、TMT-A,Bを実施したが、症例は数例のみであり、特にTMT-Bを実施できた患者は2人であった。慢性期脳卒中患者は、失語症、注意障害、アパシーが症状として混在しており、症例の統一が難しい側面があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、失語症患者に実施した磁気刺激を継続し、症例数の更なる確保を図る。 また慢性期脳卒中患者は、失語症、注意障害、アパシーなどが症状として混在しており、症例の統一が難しい側面があると考えられる。そのため今後は磁気刺激対象患者の拡大と、短期間で実験可能な研究プロトコールを考え、その実証を考えている。 脳画像解析について、SPECTは方法、解析の観点から症例数が限定される。今後は高次脳機能評価と脳画像を簡便に評価する目的で、パソコンによる高次脳機能評価や光トポグラフィーを用いた脳画像解析を検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光トポグラフィーの結果を統計学的に解析する目的で、Statistical Parametric Mappingの使用と、その起動ソフトであるMATLABの購入を検討している。
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