2013 Fiscal Year Research-status Report
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24650332
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
原 貴敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40619889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 修 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30256466)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 高次脳機能障害 / 失語症 / Alien hand syndrom / 脳卒中 / 脳血流 |
Research Abstract |
1.前年度から実施している慢性期脳卒中失語症患者に対するrTMSを対象とした画像的変化解析を継続した。対象症例は最終的に50人。fMRIを用いた言語賦活野の同定を行い、低頻度rTMS照射部位を同定した。そのrTMS前後にSPECTを撮影し、その画像をSPM5を用いて解析した。病巣側半球が賦活し健側大脳半球rTMS実施群と健側大脳半球が賦活し病巣側大脳半球rTMS実施群とでは、SLTAと言語関連領域の脳血流変化との相関関係に違いがあることが証明された。現在論文作成中である。 2.本年後より、失語症患者に対するfMRI言語賦活野同定法が実施不可能な症例に対してfNIRSを使用した言語賦活野の同定を実施した。現在数症例であるが、復唱や使用頻度の高い単語によるタスクを行い脳活動の変化を測定した。これらの症例に対してrTMSを行い一定の効果を認めている。今後は症例を増やす、もしくはfMRIによる同定方法とfNIRSによる同定方法の比較を行っていきたいと考えている。 3.脳卒中後Alien hand syndrome(AHS) 患者に対して、低頻度rTMSと集中的リハビリテーションを行った。fNIRSを用いてrTMS前後の脳血流変化を測定し、麻痺側上肢タッピング時にrTMS前後で脳血流の有意な変化を捉えることができ、加えてAHS症状の改善が認められた。過去の報告では、AHSの皮質内抑制をrTMSで評価した研究と、rTMS前の脳活動の変化が矛盾しないものであった。AHSに対するリハビリは代償的アプローチが中心であり、今回の報告は過去に前例がなく貴重な報告と考える。 4.上記3の高次脳機能障害を伴う上肢麻痺患者が存在することから、慢性期脳卒中患者に対して我々の研究グループが実施している健側低頻度rTMSと集中的リハビリテーションが注意に及ぼす影響について検証した。現在検証継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象患者は限定的であるが、磁気刺激が注意障害に与える影響について検証している。失語症に対しては、fMRI,SPECT,fNIRSを用いて多角的に検証しており、大きな成果が期待できると考えられる。 Alien hand syndromに対する磁気刺激療法の効果と脳血流による評価は前述の通り過去に報告はなく有益な報告と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.現在、慢性期脳卒中後失語症を対象としたrTMSは脳血流の検証を含めて大きな成果が期待できるため、急性期もしくは、亜急性期への適応範囲の拡大を検討中である。 2.現在症例収集中の注意障害に対するrTMSの統計解析を対象数が集まり次第実施する。 3.「fMRIによる脳賦活領域の同定を利用したrTMS」と「fNIRSによる脳賦活領域の同定を利用したrTMS」の比較検討を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は既存の機器を使用したことと、学会等の発表が少なかったため、使用額が小額であった。本年後は海外を含めた積極的な学会活動を行う予定である。 高次脳機能障害を対象としたrTMSが、失語症やAlien Hand Syndrom、脳卒中後の注意障害に効果がある可能性が考えられるため、脳機能評価を目的をした。簡易的fNIRSや脳波計の導入を検討している。
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