2013 Fiscal Year Research-status Report
経頭蓋直流電気刺激が脳機能に及ぼす影響-電気・磁気・光技術の応用-
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24650335
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 智章 新潟医療福祉大学, その他部局等, その他 (30445902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
田巻 弘之 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40253926)
桐本 光 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (40406260)
椿 淳裕 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50410262)
鈴木 誠 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80554302)
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60544393)
山代 幸哉 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (20570782)
菅原 和広 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (10571664)
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Keywords | 経頭蓋直流電流刺激 / tDCS / 経頭蓋磁気刺激 / 運動誘発電位 / MEP / 脳磁図 / 体性感覚誘発磁界 / SEF |
Research Abstract |
健常者を対象にして経頭蓋直流電流刺激(tDCS)による皮質興奮性の増加(または減少)を誘導するための最適刺激方法を検討した.その結果,一次運動野の興奮性を増大させるためには,陽極電極を一次運動野直上に設置し,陰極電極を対側一次運動野に設置する方法が最適であった.一般的に利用されている陰極電極を前額部に設置する方法では,tDCS後に運動誘発電位(MEP)が増大するものの被験者による変動が大きく,安定した結果を得ることができなかった.また,刺激強度の影響についても検討も行い,日本人を対象とした場合,一般的に使われている1mAの強度よりも2mAが安定した結果をもたらすことが明らかになった. 次に,一次運動野への陽極tDCS介入中に軽微な随意運動または他動運動を行うことにより,一次運動野の興奮性をさらに増大させることができるか否かを検証した.その結果,予想に反して,一次運動野への陽極tDCSと軽微な随意運動を組み合わせた場合,介入直後のMEPは減弱し,陽極tDCSによる皮質興奮性の増大効果が認められないことが明らかになった.さらに,陽極tDCSと他動運動を組み合わせた際にも,tDCSの効果を減弱させることが判明した(Brain Research 2013). さらに,一次運動野および一次体性感覚野への陽極tDCSが体性感覚誘発磁場(SEF)に与える影響についても検討した.一次運動野への陽極tDCSを20分間実施することにより,正中神経刺激によるSEFのP35mとP60mの成分が有意に増大することと,一次体性感覚野への陽極tDCSを20分間実施することによりP60mのみが有意に増大することが明らかになった(Clinical Neurophysiology 2014).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の刺激強度や刺激部位を組み合わせてtDCSの最適刺激方法を明らかにすることができた.また,tDCSの効果をより安定的に得る方法を検討し,tDCS施行中には随意運動や他動運動を行わず,安静状態でtDCSを施行することが最適でることを明らかにした.さらに,tDCSによる体性感覚誘発磁界の変動を明らかにすることができた.いずれの結果も国際誌への掲載を通して公表できていることから本研究は概ね順調に推移しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
tDCSを利用した最適刺激方法を検討し,その効果を単発磁気刺激による運動誘発電位(MEP)や,電気刺激による体性感覚誘発磁界の側面から検証した.平成26年度は,二連発時刺激や電気刺激と磁気刺激との組み合わせを利用して,tDCSが皮質内ネットワークに及ぼす影響を検討する.二連発磁気刺激による短間隔皮質内抑制(SICI)や皮質内促通(ICF)は経頭蓋磁気刺激装置を2台使用し,80%閾値(閾値下)の条件刺激の後,2-5 msの刺激間隔で120%閾値(閾値上)の試験刺激を行うと,試験刺激によって誘発される運動誘発電位が小さくなり(SICI),条件刺激後10 msの刺激間隔で試験刺激を行うと誘発される運動誘発電位が大きくなるというものである(ICF).また,電気刺激と磁気刺激の組み合わせによる短潜時求心性抑制(SAI)や長潜時求心性抑制(LAI)の変動についても解析する.末梢神経刺激の約20 ms後(SAI)および約200 ms後(LAI)に経頭蓋磁気刺激を行うと誘発されるMEPが減弱する抑制現象が認められる.これらの手法を駆使して,tDCSによる皮質内ネットワークの変動を明らかにする. また,近赤外線分光イメージング装置(NIRS)を利用して,tDCS施行中の皮質血液動態の変動も計測・解析する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に参加する予定だった国際学会に参加することができず,次年度(26年度)に持ち越すことになった. 実験を継続するための被験者謝金や,論文投稿用の英文校正費,学会発表時の旅費,実験に必要な少額消耗品等の購入に使用する予定である.
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Research Products
(5 results)