2012 Fiscal Year Research-status Report
呼吸心拍リズム間シンクロ現象を利用したメンタルストレス評価器の提案と試作
Project/Area Number |
24650344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
新関 久一 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00228123)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 呼吸性不整脈 / 位相同期 / 精神ストレス |
Research Abstract |
社会構造や労働環境の変化によってメンタルヘルスの管理は労働安全衛生上の重要な課題となってきている。しかし日々のストレス度を簡便にモニター可能な無侵襲的手法は提案されていない。呼吸と呼吸性不整脈(RSA)間の位相のシンクロ度が呼吸数の影響を受けずに自律神経活動を無侵襲的に定量化するための情報源となりうることから,本研究ではシンクロ度を用いた無拘束無侵襲ストレス評価システムを開発し,運動を含む日常生活における様々な場面でストレス度を計測することを目的とした。今年度は運動時にストレス指標がどのような変化を示すか解析した。被験者8名をリクルートし,嫌気的代謝閾値(AT)を自転車運動で計測した後,ATの0,20,40,60,80,100%レベルの運動負荷を連続的に課して呼吸リズムと心拍リズムの連続的計測からストレス指標(λ)を求めた。呼吸リズムは分時15回に随意的に固定した。RSAの振幅はAT60%から有意に小さくなったが,λはAT100%レベルにおいてのみ有意に低下した。また,唾液αアミラーゼ活性はAT100%レベルで有意に上昇した。AT60%以上でRSAの振幅が有意に小さくなったことから,この運動強度から副交感神経活動が減弱したと推定される。しかしλはAT60%では低下せずAT100%で有意に低下したこと,また唾液αアミラーゼ活性の上昇は交感神経の賦活を反映することから,λは交感神経活動の変化とより関連することが示唆された。 また,今年度は心電図から呼吸リズム推定するをアルゴリズムを考案し,心電図のみからストレス指標を提示できるソフトウェアを開発した。次年度は計測システムをリアルタイム化し,運動以外の様々な日常生活活動におけるストレス指標の計測を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究計画にもとづいて運動負荷レベルとストレス指標との関連を明らかにし,また心電図のみからストレス指標を求める手法を考案した。また,計測アルゴリズムをC++言語を用いてPCにインプリメントし,リアルタイム計測に向けての準備を行った。研究成果は日本臨床モニター学会および日本生理学会において発表し,ほぼ研究計画に沿って進んでいると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
リアルタイムで計測可能な携帯用のストレス評価器の開発を急ぐ。並行して以下の日常生活行動時におけるストレス度をオフラインで計測する。 喫煙:喫煙者と非喫煙者の被験者を対象に,安静コントロールを計測後,タバコ1本分喫煙中,喫煙終了後のストレス度を計測して,喫煙者と非喫煙者の応答を比較する。喫煙者にとって喫煙はストレスを和らげる効果があるとされているがシンクロ度にどのように表れるか検討する。 食事:安静コントロールを計測後,朝食,昼食,夕食の摂食中,摂食前後でストレス度を計測する。食事は副交感神経活動を亢進すると言われており,それがシンクロ度にどのように表れるか検討する。 睡眠:被験者に就寝前に試作器を身に付けてもらい,就寝中のデータを収集する。同時に簡易睡眠ステージ評価器を用いてNREMとREM睡眠期におけるストレス指標の関連性を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オフラインでストレス指標を計測するソフトウェアはすでに開発していることから,このソフトウェアをPDA端末にインプリメントする必要がある。このためにPDAとbluetoothを用いて心電図を計測できる無線式心電計を購入する予定である。また最終年度に当たり,研究成果を発表するための学会参加費および旅費を計上している。
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