2013 Fiscal Year Research-status Report
脳波を用いたロボット制御の実用化に向けてのシステム開発
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24650353
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
夏目 季代久 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (30231492)
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Keywords | 脳波 / ブレインコンピュータインターフェース / サービスロボット / 自己組織化マップ |
Research Abstract |
左右に関する動作イメージを頭に思い描くだけでサービスロボットを制御する、そのような研究が現在進んでいる。動作イメージを浮かべている時の脳波を判別プログラムが判別し制御する。しかし従来法では動作イメージが直感的で無く、また判別プログラムが結果 を出しやすいような脳波を人間が学習しなくてはいけない。従って使用者にとって負担であり実用からほど遠い。本課題で提案した「Robots Move As You Think System」(RMAYTS;R メイツ)を用いれば、ユーザーのある時の脳波を測定すると、その時どのような左右動作イメージが一番効率良く左右どちらかをイメージしているか判定可能になる。使用者への負担が少なく安定した判別が可能なので脳波判別ロボット制御に使え、今後の人間とサービスロボットとのコミュニケーションツールとして威力を発揮するものと予想される。 BCI技術の実用化を目指す基礎的研究として、本研究では2つの方略を試みた。一つがより少ない電極を用いた脳波判別手法の開発であり、もう一つが、被験者の脳波特徴化し、BCIの脳波特徴を分かりやすくする視覚化手法の開発である。被験者の脳波を自己組織化マップで記載する事を試みた。自己組織化マップは、脳波特徴を視覚的に示してくれるもので、その後の脳波特徴判別に役立つものと期待する。実際、3つの視覚刺激を行った時に国際10-20法に従い脳波測定し、刺激後700ミリ秒間の脳波を自己組織化マップで表示した所、各刺激に対して、異なる傾向を示す事が明らかになった。また、その後、各刺激を脳波によって判別したが、その判別正解率も高かった。従って、脳波の自己組織化マップ表示は、「R メイツ」の技術として使用できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要の2つの手法のうち、1つ目としては、データのオーバーラップ法を開発した。これはアンサンブル法による判別手法において、1判別器に判別させるデータを研究概要で前記した2つの手法のうち、より少ない電極を用いた脳波判別手法を開発する1つ目の手法としては、測定脳波データのオーバーラップ法による判別器の学習法を開発した。これは複数の判別器からなる集合判別器法による判別手法における手法である。通常は、用意したデータを判別器分分割し、各データを判別器に学習させる。しかしこの手法だと、データが少ないと判別器が十分に学習出来ない。そこで1判別器に学習させるデータを、オーバーラップさせる事で見かけ上少ない学習データを多くさせる工夫を行った。その結果、今までに無い程少ないデータを用いて、判別器の繰り返し学習15回で判別正解率90%以上に達した。オーバーラップ手法を用いないと正解率は90%に満たなかった。これらの結果は、PLOS One(Onishi A, Natsume K (2014) Overlapped Partitioning for Ensemble Classifiers of P300-Based Brain-Computer Interfaces. PLOS ONE 9(4): e93045. doi:10.1371/journal.pone.0093045)に発表した。 もう一つの脳波特徴の視覚的表示法については、判別空間・自己組織化マップ(ds-SOM)を開発した。自己組織化マップを作成する前に、判別器を用いて判別した結果をベクトルデータとして、ds-SOMに入力しマップ作成を行った。その結果、判別結果を反映したマップ作成が可能になり、判別に使用できる脳波特徴のマップ化に成功した。このds-SOMを用いた自己組織化マップ表示についての結果はIEEE EMBC’14に現在、投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、開発した2つの手法は、刺激によるP300と言う誘発電位に対してのものであった。最終的には、Rメイツは、左右手足などの動きに対応する、刺激誘発脱同期(ERD)を用いてロボットの動きを制御しようとする技術である。今後、左右手足などの動きに対応するERDデータを収集し、本研究課題で開発した、脳波データのオーバーラップ法、ds-SOM法を適用させてRメイツを構築して行きたいと考えている。 またロボットの制御手法には、異なる周波数で点滅する図形を用いた定常状態視覚誘発電位(SSVEP)によるものもある。今後、上記、ERDを用いた手法と、SSVEPを用いた手法を比較する事で、どちらがロボットの制御手法に合致したものであるか、またそれらの利点を考慮した制御手法がどのようなものか考えながらRメイツのシステム構築をしていきたいと考えている。 さらに、最近、機能的MRIイメージング研究では、デフォールト状態の考え方が一般的である。それは、各人の刺激前のコントロール状態は異なっている。それをデフォールト状態と呼ぶ。同様の考え方を脳波にも応用し、各人が持っているコントロール脳波、つまりデフォールト脳波を測定し、さらに、上記のロボット制御に適した刺激、脳波の解析手法などをデータベースに保存し、各自の脳波にあったRメイツシステムの開発を目指したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年間の研究成果の論文発表を考え、PLOSOneに投稿した。当初は年度内での査読受理を目指していたが、3月までの査読受理が間に合わず、2014年度に雑誌投稿料・発行料を支払うため次年度使用額が生じた。 論文発表における雑誌投稿料・発行料他に使用予定である。
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Research Products
(6 results)