2013 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ実践に役立つアウトカムを重視した応用科学独自の研究法
Project/Area Number |
24650370
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂入 洋右 筑波大学, 体育系, 教授 (70247568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 健太郎 筑波大学, 体育系, 特任助教 (00609737)
木塚 朝博 筑波大学, 体育系, 教授 (30323281)
征矢 英昭 筑波大学, 体育系, 教授 (50221346)
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Keywords | 研究方法 / 個人差 / アウトカム / スポーツ / 心理状態 / セルフコントロール / 二次元気分尺度 / パフォーマンス |
Research Abstract |
実践応用に適した科学的研究の新たな方法論として、個人差を考慮した介入を可能にするためにアウトカムと関連する「包括的媒介変数」を活用することを提案し、個性対応型“身心の自己調整システム”を用いた研究を実施してその方法を具体的に示すとともに、包括的媒介変数として心理指標だけでなく客観的で自動的な測定指標(生理・行動指標)の活用を実現することを目的として、以下の研究を推進した。 まず、初年度に続き「包括的媒介変数」としての心理・生理・行動指標とそのデータ解析法の開発に取り組んだ。結果として、心理指標としては二次元気分尺度が有効であり、被験者ごとにアウトカムと関連する心理状態のベスト・ワーストエリアを設定して、各エリアまでの距離を変数とすることが有効であることが確認された。一方、生理指標に関しては有効な指標を見いだせなかった。また、行動指標に関しては、課題遂行直前の動作についてCHLACによる動画解析を実施しているが、まだ明確な結果が得られていない。しかし、食事や運動などの事前の準備行動がアウトカムと関連することが確認された。 そこで、心理指標として二次元気分尺度で測定される心理状態のベスト・ワーストエリアを、行動指標としてアウトカムと関連する準備行動を被験者ごとに設定して、カヌーおよび剣道の選手を対象とした介入研究を実施した。結果として、カヌー選手(5名)の1分間の最大漕力が顕著に向上し(効果量d=1.33)、剣道選手(18名)の稽古の質(準備・意欲・思考・動き)が、介入群において統制群より有意に向上することが確認された(p<.05)。 以上の研究を通して、アウトカムの最大化を目的とした実践応用に役立つ新しい研究の方法論を具体的に示すことができた。一方、包括的媒介変数として活用可能な生理指標および行動指標の開発はまだ成功に至らず、今後の課題として残された。
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Research Products
(5 results)