2014 Fiscal Year Annual Research Report
教育学における身体教育の位置づけ:二つの「身体」(生体・媒体)に基づく歴史的検討
Project/Area Number |
24650375
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 浩一 日本大学, 工学部, 准教授 (40579728)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体教育 / ペスタロッチ / ヘルバルト / 森有礼 / 兵式体操 / 身体の規律化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二つの「身体」(生体・媒体)という新たな観点から、身体教育の概念を歴史的に検討し、過去との相違と今日的問題点を明らかにすることを目的にしている。このため、平成24年度にはペスタロッチ(Pestalozzi,J.H.)、平成25年度にはヘルバルト(Herbart,J.F.)の教育学について検討した。平成26年度には、当初の予定通り、それらの日本への影響を検討した。 ペスタロッチの影響に関しては、日本に紹介されたペスタロッチ主義の一つであるジョホノット(Johonnot,J.)の教育学を検討した。この結果は、原著論文としてまとめている。(中野浩一「高嶺秀夫(会津出身)の『教育新論』(明治18-19年刊)における身体教育の位置づけ:二つの『身体』(生体・媒体)に基づく検討」『日本大学工学部紀要』56巻1号、2014年、日本大学工学部工学研究所)。 しかし、リーランド(Leland,G.A.)など、検討者数を増やし、ペスタロッチの影響に関するさらなる研究が必要である。その他、ペスタロッチ主義以降、ドイツの学説であるヘルバルト説が主流となるが、このドイツ化を方向付けた一人が初代文部大臣、森有礼である。この森に関しては、資料収集を行っているが、論文としてまとめるまでには至らなかった。 以上のように、成果として実った点もあるが、反省点も認められる。しかし、これまで省みられることの少なかった「教育学における身体教育の位置づけ」について、ある程度、明らかにすることができたので、萌芽的研究という役割を果たしたと考えられる。この結果、今日の教育実践において、見過ごされている点があること、このため、問題を解決できない場合が生じること、その解決の糸口として、「身体」(生体)の育成や「身体」(媒体)のつながりを通しての教育が重要であることを指摘できたと考えられる。
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