2012 Fiscal Year Research-status Report
内的成長や心理的課題解決による競技力向上の心理的機序
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24650380
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中込 四郎 筑波大学, 体育系, 教授 (40113675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メンタルトレーニング / アスリート / 内的成長 / 心理療法 / 競技力向上 / 内界探索 |
Research Abstract |
アスリートの内的成長や心理的課題解決を主要な作業とするメンタルトレーニング(以下、MTとする)の効果機序を明らかにすることを目的に、研究計画の初年度(平成24年度)は、「内界探索型MTプログラム」に基づく、MT講習会を所属大学内で開催した。週1回・11週間・各2時間をトレーニング頻度・期間とし、心理スキルの指導を若干加味しながらも、本講習会では参加者のイメージレベルでの内界の表出、交流、そして各種体験の振り返り、等に重きをおいたプログラム構成となっている。トレーニング効果の確認ならび機序については、基礎的心理競技能力テスト、描画作品(風景構成法)、グループ箱庭への取り組み、トレーニング日誌、等を資料に基づき検討した。現在、過去に実施された同種の講習会で得られた資料も含めて、分析検討中であるが、上述のような体験を通じて、参加者は自己・他者理解を促進し、そのことが自身のなかでの競技の位置づけ(価値づけ)、日々のトレーニングへの取り組み、そして所属競技集団内での他者との関わり方、等の変容を引き起こし、パフォーマンスに対する積極的意味を認める事ができそうである。 本年度はこの他に、アスリートが心理療法の中で言及する(語る)広義の「身体」の持つ治療的意味について、これまでに関わった相談事例のうち8名の面接記録を分析検討した。そこでは、「主訴「「身体への言及」「象徴的意味」「取り組まれた心理的課題」「パフォーマンスの変容」といった観点から分析され、特に、「身体」の持つ治療的意味として、①「窓口」としての身体、②身体の象徴性、③「守り」としての身体、④こころと体をつなぐ「身体」といった内容を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、「内界探索型メンタルトレーニングプログラム」に基づいた講習会を開催し、本研究課題を達成するための各種研究資料の収集を行うことが出来た。今後は、同種のプログラムに基づいた講習会での研究資料と結合させ、分析検討を加えることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アスリートの心理相談事例より、内的課題解決による競技遂行の変容について検討する。本研究課題に相応しい相談事例を分析資料とする。分析対象となるアスリートの事例は、研究期間内だけでなく、これまでに本研究者が過去に関わった相談事例、ならびに研究協力者から資料提供への諒解が得られた事例を加える予定である。それらの各面接資料に対して、「主訴」「身体への特徴的言及」(内的課題とパフォーマンス課題の対応)「象徴的意味」「相談の中で取り組んだ内的課題」「パフォーマンス面での変化」といった観点から該当箇所(言及内容)の抽出を行う。 本分析では、内的課題解決と競技遂行での変化を因果的にとらえることはせず、両者の共時的関係について明らかにするために、関連するクライエントの語りを物語化する。そしてさらに、そうした個々の事例の分析結果を俯瞰できる主要な流れを図式的にまとめる予定である。 本課題を達成するためには、操作的な手法を用いた数量化による方法では限界があり、臨床学的接近あるいは対象理解(個の全体性・関係性・意味<共時性>)の方法を採用することになる。そして必然的に、事例研究を採用することになる。 本年度は研究計画の最終年度であることから、全般的なまとめの作業も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)