2012 Fiscal Year Research-status Report
卓球サービスの球威を探る:ボールの回転と打球フォームに着目して
Project/Area Number |
24650384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉田 和人 静岡大学, 教育学部, 教授 (80191576)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 卓球 / サービス / 威力 / ボールの回転 / 選手の動き |
Research Abstract |
卓球のラリーでは,相手打球の回転の影響を強く受ける.しかし,これまでのところ,実際の大会の試合において,「ボールの回転はどの程度であるか」,「選手はどのようにボールの回転を操作しているか」などを明らかにした研究はあまりみられない.そこで本研究は,ボールの回転が特に重要とされている卓球サービスに関して,世界トップレベルから日本の地方レベルまでの大会における試合を対象に,ボールの回転と打球フォームの分析を行ない,それらの結果と対戦選手のレシーブの成否などとの関係から,球威を決定する要素を明らかにしようというものである.この研究により,「ボールの回転により球威を増す」ことが必要とされる場面の多い卓球について,ボールの回転からみた競技特性の解明が進むこと,新たな技術の創造のための有効な知見が得られること,などが期待できる. 3年計画の1年目にあたる平成24年度は,以下の撮影と分析を行なった. 1)撮影 世界トップレベル,日本トップレベル,および日本地方レベルの各大会において撮影を実施した.1試合の撮影には,高速度ビデオカメラ(1000fps)1台と家庭用ビデオカメラ(30fps)1台を用いた.高速度カメラの撮影対象は,男女それぞれの上位8シードの選手が,カメラに向かってプレーしている時のサービスとした.高速度ビデオカメラでは,ボールに刻印されている製造会社のマークの動きと,選手の動きが分析できる映像が得られるようにした.家庭用ビデオカメラでは,試合全体が観察できる映像が得られるようにした. 2)分析 全撮影映像について,ボールに刻印されているマークの動きから,ボールの回転数を測定した.試合中のレシーブの成否などからサービスの威力を評価するため,卓球のゲーム分析を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた実験を全て実施し,データ収集を行なった.さらに,全データに関して,ボールの回転数の測定を終了した.しかし,打球動作の質的分析に関しては一部を残した.これは,平成25年度に分析する予定である. 平成24年度の分析対象試合に関して,サービスの威力を対戦者のレシーブの成否などで評価するための基礎データが十分でないことがわかった.そこで,分析対象以外の卓球の150試合程度を対象にゲーム分析を行ない,サービスの威力をレシーブの成否などから評価するための基礎データを収集した.これについては,近く成果を公開する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
3年計画の2年目にあたる平成25年度には,平成24年度と同様に,世界トップレベル,日本トップレベル,および日本地方レベルの各大会において撮影を実施する.撮影方法は平成24年度と同じとする.撮影は,平成24年度と合わせて,各競技レベルにおいて男女8名以上,1名について20本以上のサービスの映像データが得られるようにする.映像データの分析方法についても,平成24年度と同じとする.さらに,平成24年度と平成25年度に得られた全ての分析結果から,ボールの回転数と打球フォームの類似性について,男女差,競技レベル差を検討する.また,対戦者のレシーブの成否に加え,サーバーの得点に要した1ラリー中の打球回数などから,分析試合におけるサービスの球威を検討する. 3年計画の最終年にあたる平成26年度には,平成24年度と平成25年度のデータから,ボールの回転数と対戦者のレシーブの成否との関係,打球フォームの類似性と対戦者のレシーブの成否との関係などを検討する.その際,今回の研究の主な仮説である次の2点を検証する.(1)競技レベルが低くなるほど,サービスのボールの回転数と球威との正の相関が強い.(2)競技レベルが高くなるほど,サービスの打球フォームの類似性と球威との正の相関が強い.以上の結果などから,卓球サービスの球威を決定する要素を明らかにする. この研究は,卓球のスキルのメカニズムや競技特性の解明のみではなく,対戦型競技の実際の大会場面から高精度なデータを収集し分析するスポーツ科学分野の新たな方法の開発としても,その成果が期待できるものであり,重要な意義があると考える.このような観点からの考察も加え,研究成果をまとめる. 研究成果については,国内外の学会・学術誌,卓球をはじめとする様々な競技の各種講習会,および卓球専門誌などで発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,科学研究費での購入を予定していた物品を別の予算で購入するなど,経費の支出を抑えることができた.このことなどから,平成25年度使用額が生じた.平成24年度の研究において,当初の予定より早く一部の成果が得られた.平成25年度には,それらの発表を新たに計画に加えることとした.平成25年度の使用計画は,以下の通り. 旅費:荻村杯,全日本選手権,静岡県中部地区卓球選手権での撮影を実施する.いずれの大会についても,大会主催者らとの研究打合せ旅費が1名分(研究代表者1名)必要である.また,荻村杯と全日本選手権では,宿泊を伴う撮影旅費が4名分(研究代表者1名と研究協力者3名)必要である.また,分析データに関する検討を行なうための旅費が必要である. 人件費・謝金:3大会(計12日間)での撮影を行なう.この撮影には,各大会3名の補助が必要である.これについては,専門的な知識や関連研究の経験が求められることから,公共団体・学術機関などでの謝金を参考に,日額10千円/人とした.また,研究期間を通して,膨大な映像データなどの資料整理に2名の補助(6月;40時間/月)が必要である.これについては,大学院博士課程の学生を予定しており,1千円/時とした.また,いくつかの研究成果を国外の学会誌などに公開するため,外国語論文の校閲などの謝金が必要である. 設備備品:大会場で迅速に較正用のフレームを撮影するための吊下較正装置が必要である.
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