2012 Fiscal Year Research-status Report
脳内情報処理における予測的知覚機能の潜在性に関する研究
Project/Area Number |
24650392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今中 國泰 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (90100891)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 予測的知覚 / 潜在知覚 / 移動刺激 / 逆向マスキング |
Research Abstract |
知覚・認知と運動にかかわる感覚入力の脳内情報処理には、僅かとはいえ一定の処理時間がかかる。したがって、脳の知覚認知処理は環境刺激と同時ではなく実環境のタイミングより僅かに遅れていることになる。一方、古くから、移動刺激の知覚では実際の位置より百数十ミリ秒後の将来の位置が知覚される、というRepresentational Momentum(RM)が報告されている。 本研究計画では、逆向マスキング条件下で予測的知覚RMが生じるか否かを検討することを目的とした。平成24年度は効果的な実験系の確立をめざし、適切な移動刺激とRM測定方法、移動刺激が知覚不能になるような逆向マスキング操作、の2点について検討した。実験系は実験プログラミングツールのPresentationを用いた。 実験1では、RM測定のための移動刺激を、10x10ピクセルの2つの正方形刺激を上下に近接させて並べ、それをパソコン画面の端から左または右に移動、最後の3フレームで上下いずれかの図形1つを提示、その後、100x画面幅ピクセルのランダムドットパタンのマスク刺激を提示し、最後の3フレームの移動刺激の上下の別を検出させ、知覚抑制(マスク)の程度を検討した。その結果、移動刺激の明るさをかなり低くしなければマスクが生じないこと、及びその条件下でのRMサイズには大きな個人差が生じることが判明し、実験設定として不十分な点が残った。 実験2では、移動刺激として、輪郭を不鮮明にした横縞図形(5cycle/deg、cpd)を用い、移動刺激の最後の3フレームの刺激図形を5cpdから3cpdに変え、ランダムパタンでマスクをかけ、空間周波数変化の知覚抑制を操作し、RM実験を行った。この予備実験の結果、マスクはほぼ完全にかかることが判明したが、RMに関しては不明瞭であった。今後さらに詳細な検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は実験系の確立を目的とし、移動刺激、マスク刺激、RM測定可能、の3条件に関する適切な条件設定を探った。複数の条件を検討した結果、マスクが完全にかかる条件を見出し、またRM実験手順もほぼ確立することができたため、当初予定していたところまでおおむね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の継続として、平成25年度は、実験系における逆向マスキングとRM測定の両者を同時に検討できる実験条件設定を完成させ、さらに平成24年度実施の実験では試行数が440試行と非常に多かったため、試行数を減らして効率のいいRM実験とする方策を検討する予定である。可能な限り前半で予備実験を終え、その後一般学生からの実験参加による実験を進め、十分なデータ収集を実現するつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに実施した実験は予備的な実験であったため、一般学生等の実験参加者を募るには至らず、謝金や実験補助者の経費が生じなかった。平成25年度以降は、実験参加者、補助者への謝金、実験プログラムソフトの契約費用、成果発表のための学会参加、海外共同研究者との研究打ち合わせ等に支出する予定である。
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