2012 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋の可塑性に及ぼすβ2‐アドレナリン受容体発現レベルの応答とその機能的役割
Project/Area Number |
24650409
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今泉 和彦 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60145068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立屋敷 かおる 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (20119324)
白土 健 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (60559384)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | β2-アドレナリン受容体 / β2-アゴニスト / クレンブテロール / 細胞内情報伝達 / 骨格筋 / 筋肥大 / 骨格筋の可塑性 / マウス |
Research Abstract |
骨格筋のβ2-アドレナリン受容体(β2-AR)を介した細胞内シグナル伝達は筋の可塑性や代謝調節に関与している。ドーピング薬物のβ2‐作動薬・Clenbuterol(CLE)や身体運動による骨格筋内の機能的応答にはβ2-ARが一部関与することが知られているが、その実体は不明な点が多い。本研究では、CLE投与および身体運動によるβ2-ARを介した筋細胞内シグナル応答をC57BL/6J雄性マウスの前脛骨筋(TIB)とヒラメ筋(SOL)で比較・検討した。本年度はマウスにCLE(1mg/体重)を腹腔内投与した後、1、4、24時間後にTIBとSOLを摘出・凍結した。β2-AR下流の細胞内シグナル伝達分子(CREB,p38, Akt)のリン酸化レベルをウェスタンブロット法で解析した。その結果、CLE単回投与によりTIBとSOLにおけるCREBのリン酸化は1-24時間後でみられなかった。この結果はβ2‐作動薬投与による骨格筋の生理応答にはCREBシグナル伝達経路の活性化が深く関与しないことを示唆する。一方、SOLのp38のリン酸化はCLE単回投与1-4時間後で約6倍有意に高かったが、EDLのp38のリン酸化はCLE単回投与1-4時間後は相対的に高かったものの有意な差はみられなかった。さらに、β2‐作動薬投与によるp38のリン酸化の亢進作用にはp38 γ‐サブユニットのリン酸化が寄与することも明確となった。他方、Aktのリン酸化もCLE単回投与1-4時間後でSOLで約3.6倍有意に高かったが、EDLではこのような変動が認められなかった。以上より、β2‐作動薬投与によるマウス骨格筋の細胞内シグナル伝達経路の亢進作用はp38およびAktを介しており、その応答は筋組織ごとに異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画が妥当であり、現在まで研究が概ね順調に進展している。しかし、平成25年度には急性運動実験及び運動トレーニング実験を予定しており、それに用いる実験動物及び各種解析用試薬を購入するための費用を次年度に繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、交付申請書の実施計画にしたがって行う予定である。現時点では、実施計画に沿って研究を遂行できる見通しを得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、急性運動実験及び運動トレーニング実験を予定している。これらの実験に用いる実験動物・各種解析用試薬・消耗品類、さらに動物飼育の謝金等が多く見込まれるため、昨年度繰越した研究費と併せて本年度の研究費として使用し、予定の研究を達成する予定である。
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