2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム機用センサを使った循環制御系の役割分担仮説の検証と健康度モニタリング
Project/Area Number |
24650415
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉澤 誠 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (60166931)
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Keywords | 自律神経機能 / 循環制御系 / 脈波伝搬時間 / 光電容積脈波 / αインデックス / CVRR / μPA / 加齢変化 |
Research Abstract |
Mayer波帯域における血圧-心拍数間の線形相関性は,安静時に強く,映像刺激入力や姿勢変動の際に弱くなる.この現象は,「安静時には主として心拍数調節が行われ,環境変化時には心拍数調節ばかりでなく血管抵抗調節が行われる」という仮説(心拍数調節と血管抵抗調節の役割分担仮説)で説明できる可能性がある.本研究では,この仮説を検証するとともに,この仮説に基づいてゲーム用脈波センサを利用した日常的に使用できる血圧反射機能推定システムの開発を目的とした. 本年度では,昨年度に引き続き,血圧反射機能を司る循環制御系の特徴を表わす指標のうち判別力と再現性の高い指標を探索した. 実験では,昨年に比べて被験者数を大幅に増加させた.すなわち,健常被験者(若年者59人(25.7±6.3歳),高齢者86人(70.2±4.1歳))を対象として,安静状態における心電図・連続血圧・光電容積脈波を計測した.計測量から,心拍数の平均値で規格化された標準偏差CVRR,収縮期血圧のパワーに対する心拍間隔のパワーの比の平方根であるαLF,および,光電容積脈波の振幅値に関するその高周波成分に対する低周波成分の比の自然定数であるμPAなどを計算した. その結果,これら3つの指標は,他の従来指標と比較して,高齢者群と若年者群との間の判別力が高く,かつ,級内相関係数の観点から再現性の高い指標であることが明らかとなった.CVRRとαLFは互いに相関が強い一方,μPAとは相関が低いことがわかった.αLFは連続血圧の計測が必要であるのに対し,CVRRとμPAは光電容積脈波のみで計算できる指標であるため,ゲーム機用センサでも利用でき有用である.また,CVRRとμPAの2つから相関係数r=0.774で年齢を推定できることも明らかになり,自律神経機能の低下を定量的に推定する方法となり得ることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より被験者数を大きく増やした本年度の成果では,家庭でも手軽に計測できる光電容積脈波のみで計算できる指標であるCVRRと本研究で新しく提案したμPAは,高齢者群と若年者群との間の判別力が高く,かつ,級内相関係数の観点から再現性の高い指標であることが明らかとなるとともに,この2つの指標から相関係数0.774で年齢を推定でき,加齢による自律神経機能の低下を定量的に推定できる可能性が明らかとなった.これにより,自律神経機能評価を家庭でも手軽に実施するという本研究の目的に近づいたから.
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Strategy for Future Research Activity |
CVRRと本研究で新しく提案した指標であるμPAは,それらの組み合わせにより自律神経機能の低下を反映する可能性があるとともに,ゲーム機用光電脈波センサでも計測可能なため,家庭での利用が想定できる.一方,通常のカメラのビデオ信号の緑色成分の解析からも,μPAの計算に必要な脈波振幅情報が得られる可能性がある.そこで来年度では,非接触かつ遠隔的に計測できるビデオ信号からμPAを算出できるかどうかについて検討する.これと並行して,効率的に血圧の低下やストレスの低減を導くような呼吸統制訓練などの具体的な方法の構築を検討する.
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Research Products
(4 results)