2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650417
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太刀川 弘和 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10344889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 清貴 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80550152)
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Keywords | 音声分析 / 心理的ストレス / 音声パラメーター / 公開音響特徴量 |
Research Abstract |
本研究は、①心理的タスク下の対照研究、②実生活に近い状況での縦断観察研究、③精神疾患患者を対象とした研究、 の3研究を段階的に行い、それぞれ多面的統合的にストレス尺度と音声情報を測定し、客観的な音声によるスト レス測定技術を開発することを目的に2年間実施した。 実験1として、ストレスタスクの無作為割付け研究を実施した。方法は、健常者106名を無作為にタスク群とコントロール群に分類し,両群に状態・特性不安検査 (STAI),音声記録を行った後,タスク群のみにアナグラム課題を施行した。施行後にも音声記録とSTAIを実施し、施行前後の音声パラメーターを2群で比較した。その結果、タスク群は,メル周波数ケプストラム係数がコントロール群に比して有意な変化を示し、基本周波数(F0)が「状態不安」と有意に相関を示した。 実験2として、タイム・イベントサンプリングを用いた縦断観察研究を実施した。方法は、携帯型端末に一時的気分尺度(TMS)と音声を同時記録できるプログラムを実装し、健常者20名に同端末を貸与して、最低2週間日常生活の中で定型音声とTMSの記録を依頼した。実験後、収録音声から音声パラメーターを抽出し、TMSの下位得点の相関を検討した。その結果、研究開始時は、「緊張」と第1フォルマント(F1)、「抑うつ」と音量にそれぞれ相関を認めた。しかし縦断解析では、TMS尺度と高い個人内の時間的相関が得られたパラメーターは見出せなかった。 以上二つの研究から、心理的ストレスと関係する音響特徴量の存在を見出したものの、音声からストレスを測定するまでに十分な結果を得られなかった。健常者では日常的ストレスの変動が大きくないことから、実験3としてストレスタスクと同時音声収録が可能なタブレット型端末プログラムを開発し、うつ病患者、統合失調症患者を対象に、新たに音声収集を開始している。
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Research Products
(2 results)