2012 Fiscal Year Research-status Report
中学から大学まで一貫した精神保健教育の開発:双生児を核とした縦断データ解析
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24650419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50235256)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 健康教育 / 精神保健調査 / 思春期 / 青年期 / 学校 / 縦断調査 |
Research Abstract |
本研究は、ある中高一貫校の卒業生で大学生の年代を対象に、生活状況や適応状況を質問紙で調査し、在校中に行った精神保健調査やその他の健康調査、体力調査などのデータと合わせて解析することで、精神的健康を維持するために必要な要因についての要因を中高から大学にいたるまで検討し、中高から大学まで一貫して行うべき健康教育の在り方を明らかにし、その試案を作成することを目的として実施している。平成24年度は、卒業生に実施する質問紙の作成、中高在校中のデータの電子化作業、同窓会との連絡による調査準備、倫理委員会への申請(承認済み)などを進めた。これをもとに平成25年度前半に卒業生調査の実施と解析を進め、後半には試案作りを行う予定である。これと同時に、中高データの縦断解析も行っており、就寝時刻がその後の精神的健康度(不安・抑うつ)に有意に影響すること、また一卵性双生児ペアの解析から(対象校では、毎年双生児枠での入学が一定数行われている)、遺伝的背景が同じであっても、睡眠時間や就寝時刻は不安・抑うつを有意に説明できることが明らかとなった。これまで、一般者でも睡眠時間などの睡眠習慣と不安・抑うつとの間に相関のあることは複数の研究で観察されてきたが、その因果関係(どちらが原因で、どちらが結果か?あるいは擬似的な相関にすぎないのか?)については明らかでなかった。本研究の今年度の解析は、貴重な縦断データを解析することで、その問題に答えを与えたという点で、きわめて重要な解析であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査を開始するにあたって必要な同窓会との連絡・返事が遅れがちなため、現時点に関する質問紙調査の発送などがこれからとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
卒業生の現時点での生活習慣、適応、精神的健康状態に関する質問紙調査を、郵送法にて実施。得られたデータを在校時(中高生時点)のデータと合わせて縦断的に解析し、卒業後の適応と精神的健康に関連する諸要因を明らかにする。それをもとに、中学・高校・大学と一貫した精神的健康のための健康教育の試案を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
卒業生への調査の実施(人件費、調査用紙印刷、郵送、謝金、入力)に大半の費用を使うこととなる。そのほかには、参考書籍、成果発表のための費用(旅費、出版費用)、健康教育用パンフレットの印刷費用などに用いる。
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Research Products
(7 results)