2013 Fiscal Year Annual Research Report
中学から大学まで一貫した精神保健教育の開発:双生児を核とした縦断データ解析
Project/Area Number |
24650419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50235256)
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Keywords | 健康教育 / 精神保健調査 / 思春期 / 青年期 / 学校 / 縦断調査 |
Research Abstract |
思春期から青年期にかけては精神疾患の好発年齢が始まりかつ年代である。近年の研究によれば成人の精神疾患罹患者のうち半数は14歳までに、4分の3は24歳までに発症することが示されており、この年代における精神疾患発症予防は、国全体にとって大きな課題である。海外ではこの年代における精神疾患リテラシー向上並びに予防のための教育プログラムが盛んに行われているが、わが国ではこれが極めて不十分な状態である。またわが国の教育システムではこの年代は、中学、高校、大学と別々のレベルに区分されているが、精神疾患への対応に関する各レベル間の連絡は、全校レベルの対応は勿論、各事例の対応でもシステムが未整備であり、整備に必要な研究データも不足している。実際に大学での発症・悪化が高校以前や浪人時代の生活習慣に関連していたり、以前の再発であることも多く、中学・高校から大学までの一貫した精神保健対策は極めて重要な課題である。本研究はその第一歩として、中高大と一貫した精神保健教育の開発を目的に、中高生の段階で我々が精神保健調査を実施している学校の卒業生を対象に、卒業後の生活状況と適応、健康状態について中高でのデータと合わせた縦断解析を行うための調査を実施した。なおこのような縦断調査は我々の知る限り海外でも稀である。具体的な研究実施は次の通りである。まず中高の年齢で、睡眠習慣を含む様々な生活習慣、抑うつ症状、自傷・希死念慮、いじめとその被害等について毎年の調査を受けている卒業生(主に大学生)、450人余り(その約2割が双生児ペア)を対象に、現在の生活習慣、精神的健康状態等に関する調査を、質問を送付して回答を求めた。その結果約150人から協力が得られ、現在中高時代の回答と結合して、双生児ペア比較を含めた縦断解析を進めている。なお中高時代を含めいずれの調査票でも研究者には個人の特定が不可能な学籍番号を記入してもらい、匿名のまま各人の回答の連結を可能とした。
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Research Products
(11 results)