2012 Fiscal Year Research-status Report
アジア・太平洋地域における包括的学校安全評価指標の開発
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24650422
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
藤田 大輔 大阪教育大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (70243293)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 安全教育学 |
Research Abstract |
平成24年度は、海外研究協力者を通じて各国・地区毎に学校安全に関する先進的な取り組みを実践している学校(幼稚園・小学校・中学校)の推薦を受け、それぞれの学校における学校安全の具体的な実践内容について現地での聞き取り調査を実施し、併せて安全に関する内容を扱った学習参考書等の資料の収集を行った。 海外での聞き取り調査は、タイ王国(バンコク市)、マレーシア(クアラルンプール市)、アメリカ合衆国(ワシントンDC)、台湾(台北市・嘉義市)の4地区で実施した。 なお中華人民共和国(北京市・上海市)の学校では、予定していた実地調査が実施できなかったため、調査内容に関わる資料の提供を受けた。 調査内容は、大阪教育大学附属池田小学校における児童殺傷事件や近年も欧米各地の学校で発生し続けている銃による殺傷事件や子どもの誘拐事件のように、子どもたちを犯罪者やテロリストの攻撃から守るという防犯を含めた「生活安全」の領域、スマトラ沖地震による津波や中国の四川大地震、さらには東日本大震災やハリケーンと洪水のような自然災害に対する「災害安全」の領域、そして今も世界的に多発している子どもが被害者となる交通事故災害や、逆に子どもたちが加害者となる交通事故災害の予防を目指した「交通安全」の領域、さらに、いじめや各種の災害発生後のPTSDなどの心理的な被害予防を目指した「心の安全」の領域も含んだ4つの領域ごとに、学校におけるハード面からみた「安全管理」とソフト面からみた「安全教育」及び制度面から見た保護者・地域連携を含む「組織活動」の実践状況について聞き取りを行った。 一方、日本国内における実地聞き取り調査では、東京都(台東区)、広島県(広島市)、高知県(高知市)、大阪府(池田市・柏原市)の5地区の公立小学校で、海外5地区と同様に「学校安全」に関わる4領域の内容について聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で予定していた平成24年度の実地調査計画のうち、海外調査は目標としていた延べ11地区のうちの4地区(タイ王国・マレーシア・アメリカ合衆国・台湾)で実地調査を実施することができた。また日程調整ができずに調査の実施に至らなかった中華人民共和国の2地区(北京地区・上海地区)での調査については、各地区の調査協力校から調査内容に関連する資料の提供を受けた。 また国内の学校における実地調査については、当初予定していた府県以外の協力を得ることにより、結果として「関東地区」・「近畿地区」・「中国地区」・「四国地区」の4地区の公立小学校において実地調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づいて、海外研究協力者の協力を受けて平成25年9月までに、残された海外調査対象地区(中華人民共和国:昆明地区・杭州地区・成都地区、大韓民国、オーストラリア、アメリカ合衆国:カリフォルニア地区)の小学校及び中学校の教職員を対象とした実地調査を実施する。同時に、国内でも残っている「東北地区」と「九州地区」の学校における実地調査を行い、平成25年11月をめどに学校安全評価指標(案)の妥当性について検証するための検討会議(国際ワークショップ)を開催する。 この検討会議での成果を基に、「学校安全」を包括的かつ客観的に比較・評価する新たな基準となる国際的な学校安全評価指標を策定するための質問紙調査を、国内外の調査協力校で実施し、平成26年3月にこの研究成果を広く環太平洋地域の学校に公開するための基盤を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費・謝金を用いて、平成25年9月までに中華人民共和国、大韓民国、オーストラリア、アメリカ合衆国並びに日本国内の東北地区及び九州地区の現地学校を訪問し、残された実地調査を実施する。 その後、調査費を用いて平成25年11月までに、実地調査を行った国内外の学校に勤務する教職員を対象とした「学校安全評価指標」作成のための質問紙調査を実施し、その集計解析結果について検証を行う。 年度末となる平成26年3月に、作成した「学校安全評価指標」を共有する「学校安全協働ネットワーク:仮称」の設立を宣言する国際シンポジウムを会議費を用いて開催し、今回の研究成果を広く環太平洋地域の学校に発信するための基盤構築に努める。
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