2012 Fiscal Year Research-status Report
患者向けネット上情報とバーチャルコミュニティの再構成、及びその効果についての研究
Project/Area Number |
24650430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
井上 洋士 放送大学, 教養学部, 教授 (60375623)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 保健医療情報 / ヘルスリテラシー / HIV/AIDS / バーチャルコミュニティ / 当事者参加 / インターネット / ヘルス・プロモーション / ポータルサイト |
Research Abstract |
本研究では、HIV陽性者の情報環境の充実によりヘルスリテラシーを向上させ健康維持やライフ充実を図ることを目的としている。初年度はHIV陽性者向けの総合ポータルサイト開設した(http://futures-japan.jp/)。コンテンツ検討では、米国などでの健康関連WEBサイトやそのガイドラインを参考にし、理論的にも構造的にもアクセス者のヘルスリテラシー向上が狙えるような作りとした。さらに、WEBサイトのコンテンツを検討するにあたり、HIV陽性者の視点でどのような情報が必要なのかを精査し、必要な情報にたどり着きやすくなる方法を吟味したうえで、各コンテンツを配置し、豊富な情報を掲載するものとした。具体的には、以下のような工夫を施すものとした。①きめ細かいタグづけや検索キーワード提示により「HIVお役立ち情報」の検索をしやすくする。②キーワードがわからない人向けにpick upコーナーを設け「陽性とわかったばかりの人へ」「セックスについて悩んでいる人へ」「ドラッグを使用している人へ」など各対象者層別にセットで情報獲得ができる形にする。③電話相談先についての情報や2週間後までのミーティング・イベント情報をカレンダー形式で表示し時間経過とともに更新させる。④HIV陽性者によるブログへのアクセスを容易にすることでナラティブ情報を得やすくする。⑤ミニアンケートや健康セルフチェックコーナーなどで双方向性を持たせる。当初リンクしたリソースは468件であり、タグ総数は1126件、種類は90件であった。内訳は、セクシュアリティ関係では「ゲイ・バイセクシャル男性」54件・「ヘテロ・セクシャル(異性愛)男性」1件、サポート関係では「ピアサポート(陽性者向け)」26件・「ピアサポート(パートナー・家族)」5件、ライフプラン関係では「仕事」17件・「人生設計」3件など、各々偏りが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターネット上のHIV陽性者向けリソース収集と整理についてはひとまず終了し、コンテンツ原案と大筋の骨子を作成し、HIV陽性者向けの総合ポータルサイトとして年度内の公開をするに至った。また、同サイトを作成するにあたっては、当初の予定通り、WEB作業グループを形成し担当、HIV陽性者団体からの研究協力者やコンテンツ検討グループからアドバイスをもらう形をとり、単なるポータルサイトではなく、ユーザーにとって道標となりえるコンテンツになるようにつとめた。バーチャルコミュニティに関する社会学的分析については、上記の総合ポータルサイトを作成する作業に付随して、専門家を交え、先行している事例・プロジェクトの状況を調査し、方向性を具体的に検討することができた。特に米国における試みを中軸に調査をし、それらを日本文化型に修正したものを導入した。以上より、当初予定に照らすとおおむね順調と判断できるが、学会等での成果報告についてのみは取り組みが遅れ、2年度以降の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では初年度を公開フェーズと位置づけ、2年度は修正フェーズと位置づけていたが、予定通りに進捗させるものとする。すなわち、当初立ち上げたサイトのアクセス分析などを通じて、ユーザーにとってよりよいものとし、バーチャルコミュニティとしての魅力を高めるよう努力する。また今後は成果報告について学会発表や論文発表などを通じて積極的に行うものとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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