2012 Fiscal Year Research-status Report
筆跡の時間情報を用いたメンタルヘルス不調の予兆把握
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24650431
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川口 英夫 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50416921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 心身の健康 / メンタルヘルス |
Research Abstract |
1)本研究は、内田クレペリン検査における筆跡の時間情報を用いた特徴量が、メンタルヘルス不調の予測力を持つか検討することを目的としている。 2)平成24年度は、4月に200名規模のボランティア学生を対象として、デジタルペン(筆跡を13ms・0.3mmの分解能で数値記録できるデバイス)を用いた内田クレペリン検査(ひと桁の足し算を繰り返すストレス負荷検査)とGHQ30(精神的健康度を測定する質問票)を用いた測定を実施した。 3)内田クレペリン検査時の筆跡データから得られた特徴量を用いて、特徴量の値が大きいA群と特徴量の値が小さいB群を比較すると、GHQ30の総合点および不安尺度の得点についてA群とB群の間に有意差が見られた(総合点:p < 0.01、不安:p < 0.001)。これより、筆跡の時間情報を用いた特徴量がメンタルヘルス不調を指標化し得ることが確認できた。 4)上記特徴量について、同じ研究協力者群を追跡調査した。その結果、2度目の測定結果についても、GHQ30の不安尺度の得点に関し、上記A群とB群の間に有意差が見られた(p < 0.05)。 5)これらの研究結果をまとめて、10月に米国New Orleansで開催された北米神経科学会(Society for Neuroscience)の年会でポスター発表した。35名ほどの研究者と発表内容に関し質疑応答した。また、本学会は約15,000件の発表があるため関連分野・テーマの研究がほぼ網羅されいるので、詳細に研究動向調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)当初予定していた200名規模の調査研究を全て実施し、取得データの解析を完了した。 2)解析結果から、内田クレペリン検査における筆跡の時間情報を用いた特徴量が、メンタルヘルス不調を指標化し得ることを確認した。 3)追跡研究の結果を北米神経科学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)平成24年度に実施した200名規模のボランティア学生について、デジタルペンを用いた内田クレペリン検査とGHQ30を用いた計測を引き続き実施し、追跡調査を進める。 2)本学医務室と連携し、この追跡調査期間におけるメンタルヘルス不調の発生を調べ、内田クレペリン検査における筆跡の時間情報を用いた特徴量との関係を検討する。 3)メンタルヘルス不調群と健常群の筆跡データの動的変化から新規な指標の抽出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)次年度の計測に用いる心理調査票を購入する。具体的には、精神的健康度を測定するGHQ30調査票の他に、次年度から新たに性格検査質問票NEO-FFIを追加する予定である。 2)本研究の成果を北米神経科学会の年会(米国、San Diego)で発表する。
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