2013 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞の新規治療法開発のための心臓の胎仔創傷治癒機構の解明
Project/Area Number |
24650447
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
今 淳 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60271798)
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Keywords | 胎仔創傷治癒 / 心臓 / 心筋梗塞 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
胎仔創傷治癒機構及び成獣創傷治癒機構を認める各マウス心臓において発現する遺伝子のマイクロアレー解析の昨年度の結果を基に,胎仔創傷治癒機構で発現変動が著明であった遺伝子を更に詳細に解析した。その結果,特筆すべきものとして,ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現が胎仔創傷治癒機構では著明に増強すること,またヒアルロン酸分解酵素のヒアルロニダーゼの発現は軽度に減弱することが明らかになった。以上から,瘢痕形成を抑制するヒアルロン酸が,胎仔創傷治癒機構で増強していることのは,ヒアルロン酸の代謝が合成系に強く傾くためであると考えられた。そこで次に,ヒアルロン酸合成酵素,そして昨年度に胎仔創傷治癒機構で発現が増強していた各種遺伝子の発現ベクターを構築し,これを器官培養を行っているマウス心臓に損傷作成後naked DNA法で注入した。その結果,いずれの遺伝子の注入でも損傷部の創傷治癒機構はスムーズに進行せず,肉眼的には明らかな完全再生は認めなかった。しかし組織学的には,コラーゲン分解酵素の注入を行った場合,成獣創傷治癒機構に認める線維化は依然として認め,胎仔創傷治癒機構を誘導することは無かった。しかしながら,ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子を注入すると,著明な差こそ認めはしないが,若干線維化組織の出現が抑制される結果を認めた。従って,以上から,瘢痕組織のコラーゲンを分解する方法だけでは瘢痕を形成しない完全再生には移行しないと考えられた。また,ヒアルロン酸合成を促進することは,瘢痕を阻止して心筋組織を完全再生できる可能性が示唆される結果を認めたため,今後この遺伝子発現の高発現及び持続的発現の条件設定が克服すべき点と考えられた。
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