2012 Fiscal Year Research-status Report
若齢期における食育および体育のレガシー効果と肥満および運動記憶因子の探索
Project/Area Number |
24650449
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 真規 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (40383666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肥満 / 運動 / レガシー因子 / レガシー効果 / 遺産因子 / 遺産効果 / DNAマイクロアレイ / エピジェネティクス |
Research Abstract |
本研究課題では,肥満・運動経験により長期に亘って体重(体脂肪量)を変化させるレガシー(遺産)因子を解明することを目的として,検討①若齢期の肥満・運動経験により変化する遺伝子の網羅的およびエピジェネティクス的解析,検討②健康・長寿を導く若齢期・成熟期の生活環境(食・運動・豊かな環境)の探索,の2点について検討を行う. 平成24年度は検討①の「若齢期の肥満・運動経験によって発現が変化する因子の網羅的解析」を実施した.まずプロトコール①として,若齢期の高脂肪食摂取による肥満モデル動物の作成とサンプリングを行った.3週齢の雄性ICRマウス(32匹)を対象に,普通食にて集合ケージを用いた1週間の予備飼育を行った.4週齢時に個別ケージに移動させ,平均体重が一致するように以下の4つに群分けした.1) 高脂肪食群(n=8):4週齢より高脂肪食を与えて44週齢時にサンプリングを行った.2) 高脂肪食→普通食群(n=8):4週齢より高脂肪食を与えて24週齢まで飼育した.24週齢時に高脂肪食を普通食へ変更し,44週齢まで飼育してサンプリングを行った.3) 普通食群(n=8):4週齢より普通食を与えて44週齢時にサンプリングを行った.4) 普通食→高脂肪食群(n=8):4週齢より普通食を与えて24週齢まで飼育した.24週齢時に普通食を高脂肪食へ変更し,44週齢まで飼育してサンプリングを行った. またプロトコール②として,若齢期の回転ケージを用いた自発走運動による運動モデル動物の作成とサンプリングを行った.3週齢の雄性ICRマウス(8匹)をプロトコール①と同様に1週間の予備飼育を行った.4週齢より回転ホイール付の個別ケージを用いて24週齢まで飼育する(運動→普通食群).24週齢時に回転ホイールにアクセスできないように敷居扉を閉鎖して運動を中止し,44週齢まで飼育してサンプリングを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,平成24年度は検討①の「若齢期の肥満・運動経験によって発現が変化する因子の網羅的解析」を実施した.まずプロトコール①として,若齢期の高脂肪食摂取による肥満モデル動物の作成とサンプリングを行った.3週齢の雄性ICRマウスを対象に,普通食にて集合ケージを用いた1週間の予備飼育を行った.4週齢時に個別ケージに移動させ,平均体重が一致するように以下の4つに群分けした.1) 高脂肪食群:4週齢より高脂肪食を与えて44週齢時にサンプリングを行った.2) 高脂肪食→普通食群:4週齢より高脂肪食を与えて24週齢まで飼育した.24週齢時に高脂肪食を普通食へ変更し,44週齢まで飼育してサンプリングを行った.3) 普通食群:4週齢より普通食を与えて44週齢時にサンプリングを行った.4) 普通食→高脂肪食群:4週齢より普通食を与えて24週齢まで飼育した.24週齢時に普通食を高脂肪食へ変更し,44週齢まで飼育してサンプリングを行った. またプロトコール②として,若齢期の回転ケージを用いた自発走運動による運動モデル動物の作成とサンプリングを行った.3週齢の雄性ICRマウスをプロトコール①と同様に1週間の予備飼育を行った.4週齢より回転ホイール付の個別ケージを用いて24週齢まで飼育する(運動→普通食群).24週齢時に回転ホイールにアクセスできないように敷居扉を閉鎖して運動を中止し,44週齢まで飼育してサンプリングを行った. 平成24年度に実施予定であった副睾丸周囲脂肪組織の網羅的遺伝子発現データ解析は平成25年度に実施する.この変更は当初より予想されたことであり,平成25年度に予定どおりAffymetrix社のGeneChip Mouse Gene 1.0 ST Arrayを用いた網羅的遺伝子発現データの解析を実施することから,研究計画はおおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は検討①のプロトコール③若齢期の「豊かな環境(EE)」飼育によるEE飼育モデル動物の作成とサンプリングを実施する.3週齢の雄性ICRマウス(8匹)を1週間の予備飼育の後,4週齢より豊かな環境を整備した大型集合ケージを用いて24週齢まで飼育する(EE→普通食群).24週齢時に個別ケージに移動させて,44週齢まで飼育してサンプリングを行う.また検討②のプロトコール④健康・長寿を達成する若齢期・成熟期・老齢期の生活環境(食・運動・豊かな環境)の探索を実施する.若齢期における肥満,運動,豊かな環境(EE)がその後の脂肪組織における遺伝子・蛋白発現,エピジェネティクス,糖・脂質代謝および寿命に与える影響について検討を行う.尚,各群4匹を対象に脂肪組織中の遺伝子発現,糖・脂質代謝を縦断的に評価する為,24,44,64週齢時に気化麻酔下にて採血と脂肪組織のバイオプシーを行う. サンプリングおよび測定・評価の方法としては,各種のモデル動物作成後,ペントバルビタールナトリウム麻酔下にて腹部下大静脈にカニューレを挿入し,全血採血を行う.得られた血液は遠心分離後,上清を-80℃で保存する.次に,運動効果の評価として下肢筋組織を摘出して秤量する.またヒラメ筋はドライアイスにて急速凍結後に-80℃で保存し,解糖系・酸化系酵素活性を測定する.各種脂肪組織は摘出・秤量後,一部をRNA抽出用および蛋白発現解析用にドライアイスにて急速凍結し,-80℃で保存する.また後日,副睾丸周囲脂肪からTotal RNAを抽出し,網羅的遺伝子発現データを解析して候補遺伝子の選出を行う.DNAマイクロアレイ解析を行う検体は高脂肪食群,高脂肪食→普通食群,普通食群,普通食→高脂肪食群,運動→普通食群,EE→普通食群の各群において体重が群内平均に最も近い個体を対象とする(全部でn=6を選抜).
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費は,平成24年度に実施予定であった副睾丸周囲脂肪組織の網羅的遺伝子発現データ解析を,平成25年度に実施することによって生じた.この変更は当初より予想されたことであり,平成25年度に予定どおりAffymetrix社のGeneChip Mouse Gene 1.0 ST Arrayを用いた網羅的遺伝子発現データの解析を実施することによって使用する.
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