2012 Fiscal Year Research-status Report
居宅介護サービス利用高齢者・病弱者による生活必需品の購買行動
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24650454
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石川 一志 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (90125394)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 介護支援専門員 / 高齢者 / 介護保険 / 要介護 / 購入方法 |
Research Abstract |
1.訪問介護サービス利用高齢者・病弱者(利用者)の生活必需品購買行動に関するアンケート調査を行った。全国の市区町村を人口別にA群からE群まで5つに等分した。無作為に抽出した503自治体の820介護支援事業所に所属する介護支援専門員(ケアマネ)にアンケート票を郵送し、各群1000人、計5000人の利用者を対象に配布・回収を依頼した。そのうち1552人から回答があった(回収率32.3%)。 2.対象者の属性は、平均年齢82歳、女性69%、要介護1が42%、要介護2が31%、要介護3~5が計27%だった。世帯構成は、独居世帯が44%と最多で、夫婦だけ世帯が21%、異世代同居世帯が34%であった。 3.買物の方法は、誰かに頼む(依頼)人が49.7%と最も多く、次いで付き添い有り(同行)18.8%、自分で行く(自力)12.6%の順であった。依頼相手は、ヘルパーが最多の32.6%、同居人21.2%、別居の身内20.3%であった。同行者はヘルパーが最も多く25.8%で、買い物の頻度は週に1回または2回が最多で(各23.4%、26.9%)、次に3回(19.2%)が多かった。生活援助時間が足りないと感じている人は、ケアマネ、利用者とも半数を超えていた。 4.利用者の援助は、心身状況に即したものであることが必要である。限られた援助時間内で生活必需品を入手するためには、誰かに依頼するのが簡便なのかもしれない。しかし、老年症候群の進行を防ぐためには、自分で店に出かけ、商品を見て選び、支払いをする行動は重要であると思われる。自由記載で「自分で見て選びたい」が多かったことを考えると、できるだけ店まで同行する援助が必要であると思われる。 5.商業や交通の基盤が異なるA群~E群の自治体間における利用者の買物方法については、現在比較検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.計画通り、全国の介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネ)に調査票を郵送し、居宅介護サービス利用高齢者・病弱者(利用者)計5000人を無作為に選んでもらい、記入を依頼し、回収して郵送してもらった。 2.しかし、回収率が約3割で、ケアマネを介して利用者にアクセスすることで高い回収率が望めるだろうという当初の目論見は外れた。その原因は、アンケートの項目が多く、利用者からの同意が得られないだろうとケアマネが考慮して配布を避けたこと、看護系の大学や大学院を抱える都市部で、卒業研究や修士論文のためのアンケート票が出回っていたこと、また、介護支援事業所への厚生労働省のアンケート調査と一部重なったことで、本来の業務もあってアマネが多忙だったこと等が考えられる。 3.しかし、選挙人名簿に基づく杉田の郵送調査(科研費補助金成果報告書2006年3月、帯広畜産大学、「買物難民」の土台になった調査)と同程度の回収率であり、上記研究実績の概要に記した通り、全体的な傾向を把握することができた。 4.今後は、自治体の人口の累計によって5群に等分した群間比較を進める予定である。人口の多い大都市を含むA群と、最も人口が少ない小都市・農山漁村から成るE群の自治体では、商店やスーパーなどの商業施設や、公共交通機関などの交通基盤が大きく異なるため、利用者の購買行動に違いがみられる可能性があるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)全国を地域毎に5ブロックに分け、各ブロックに属する自治体の介護支援事業所の所属護支援専門員(ケアマネ)と居宅介護サービスを利用している高齢者・病弱者(利用者)に直接インタビューし、アンケート調査では知りえない購買行動の実態を聞き取り調査することが本年度の当初計画であった。 2.しかし、上記の調査結果のように、要介護1と2の軽度被介護者が多いにもかかわらず、ケアマネなどに買物を依頼している利用者が多かった。また、生活援助時間が足りないとの回答が半数を超え、しかも、自分で作成した介護計画にもかかわらず、生活援助時間が足りないと感じているケアマネも半数を超えていた。生活必需品の購入を短時間で行うためには、買物を誰かに任せてしまうのが早道であると考えられる。 3.店に行きさえすれば、まだ自分で買物ができる高齢者は多いと思われるが、店に同行するだけの時間的余裕は現行の介護保険制度下では確保されていない。認知機能の低下や筋肉量の減少を予防するためには、送迎の援助が必要であったとしても自分で買物に出かけることは重要だと思われる。 4.生活援助時間についての質問は、4段階のリッカートスケールで行い、全く足りない、かなり足りない、少し足りない、充分である、の中から選んでもらったが、少し少ないが最多の回答だった。これらの選択肢は抽象的で、どの程度少ないのかは分からない。ケアマネは自分で計画した介護の中の生活援助を大幅に少ないとは回答しにくく、また利用者も調査票を回収するのがケアマネであれば、大変少ないとは記入しにくかったとものと推測される。 5.結局、生活援助時間がどの程度少ないのか、実際に介護を担っている訪問介護員(ヘルパー)を対象に調査をする必要が出てきた。そこで、全国の訪問介護事業所に調査票を郵送し、具体的にどの程度生活援助の時間が不足するのか、アンケート調査を行うことにした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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