2012 Fiscal Year Research-status Report
衛生・医療分野への応用を目指した新規ナノ被服材料の開発
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24650455
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高崎 緑 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00402149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エレクトロスピニング |
Research Abstract |
本研究では、申請者らが開発した独自技術である溶媒フリーの「レーザーエレクトロスピニング(Laser Electro Spinning: LES)法」を応用した新規溶融エレクトロスピニング法により、植物由来のポリ乳酸ナノファイバーを創製する。さらに、生理・薬理活性を付与したポリ乳酸ナノテキスタイルの創製へ発展させ、最終的には衛生・医療用被服としての応用法を探索・確立することを目的としている。 これまでに本紡糸法によって薬剤を付与したポリ乳酸ナノファイバーの作製を試みた。紡糸時のノズル近傍での変形挙動を観測したところ、レーザー出力の増加に伴い変形開始点が上流側にシフトした。また、レーザー出力6 W以上の条件で、平均直径10 μm以下の極細繊維を作製でき、7 W以上で1μm以下、直径変動係数30%程度の均一かつナノオーダーの繊維が得られる傾向を示した。レーザー出力と直径の関係をみると、レーザー出力が5 Wから6 Wになると直径が低下し、7 W以上では直径に大きな差が見られなかった。 7 W以上で直径に大きな差が見られなかった理由として、レーザー照射による繊維の温度上昇は、繊維の直径とレーザー出力と比例関係にあり、レーザー出力が高くなるとより上流側で細くなることでレーザー照射範囲内での温度が上がりにくくなるため、結果として得られる繊維の直径に差が見られなくなったものと考えられる。 一方、UV-VIS分光法によって算出した薬剤重量分率の結果より、6、7 Wの条件で、著しい重量分率の減少は確認されなかった。したがって、LES中における薬剤の熱分解はほとんど生じていないものと推測できる。これによりこの条件で得られる繊維において、衛生・医療材料への応用展開の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の主課題であった薬理活性を付与したポリ乳酸ナノファイバーの創製を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、薬剤を付与したポリ乳酸ナノファイバーの薬剤溶出性を調べる。またX線測定などにより構造・物性を詳細に解析し、薬理活性発現の機序について検討する予定である。 さらにナノテキスタイル化、被服への設計・創製・評価法を検討するとともに衛生・医療材料への応用に向けた調査研究を試み、最終的には本研究の総括を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種ポリマーおよび添加剤等の試薬、試料および試薬調製用のガラス器具等の消耗品費、研究成果公表と情報交換を行うために国内外旅費、研究補助、資料提供・閲覧、外国語論文校閲に関する謝金として使用する予定である。 その他の経費として、物性・構造評価に用いる学内外共有機器(引張試験機、AFM、NMR、SEM、TEM、X線装置など)の利用料金、研究資料の印刷・投稿論文の別刷りに関する印刷費、および研究論文投稿料、学会参加費として使用する予定である。
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