2013 Fiscal Year Annual Research Report
衛生・医療分野への応用を目指した新規ナノ被服材料の開発
Project/Area Number |
24650455
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高崎 緑 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00402149)
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Keywords | エレクトロスピニング |
Research Abstract |
本研究では、申請者らが開発した新規溶融エレクトロスピニング法により、生理・薬理活性を付与した新規ナノ被服材料を創製し、衛生・医療用被服としての応用法を検討した。 今年度は、薬剤を付与したナノファイバーウェブを作製し、薬剤の溶出性制御について調査した。その結果、ウェブを構成する繊維の直径を変化させることで溶出性の制御が可能となった。具体的にはミクロンオーダーに比べて、特に数百ナノメートルのオーダーの直径になると、24時間までの初期の薬剤放出速度が速かった。これは繊維が細くなるほど比表面積が増大し、溶液への接触面積が大きくなったためであると考える。分光法等によってウェブ形成後の薬剤の構造変化を調べたところ、ウェブ形成時における熱的影響が低く、十分な薬理活性が得られることが示唆された。 X線によるナノファイバーウェブの構造解析を行った結果、ウェブを構成するファイバーは薬剤およびマトリックス成分ともに非晶構造であることが明らかになった。さらにナノファイバーウェブの分子量を調べた結果、薬剤溶出時におけるバッファー中でのマトリックス成分の分子量は溶出前と有意差はみられず、2週間程度の期間では生体吸収性・生分解性はあまり促進されないことが示唆された。 以上の結果から、薬剤を付与したナノファイバーウェブは、繊維径を変化させることによって薬剤の徐放性が制御可能であることが見いだされ、衛生・医療用被服材料としての応用化の指針が得られた。
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