2012 Fiscal Year Research-status Report
比較生物学的アプローチによる消化管機能回復の鍵因子の探索と経腸栄養法への応用
Project/Area Number |
24650458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
望月 和樹 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (80423838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 久由 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 講師 (40238118)
石原 顕紀 静岡大学, 理学部, 講師 (70432193)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小腸 / 無尾両生類 / 経腸栄養 |
Research Abstract |
低栄養状態に暴露された小腸の機能低下メカニズムおよびその回復メカニズムを明らかにするために、長期間絶食下に暴露され、また、消化管の再生能力が高いことで知られる無尾両生類であるXenopus laevisを用い、実験を行なった。成体のXenopus laevisを3週間絶食を行ない、再摂食させた1日後に解剖し、小腸および肝臓を採取した。その結果、小腸においては、エネルギー産生に関与する遺伝子【β酸化関連遺伝子(ACOX1)】 、脂質の吸収に関与する遺伝子(CRBPII, L-FABP, I-FABP)、糖質の消化吸収に関与する遺伝子MGAM、転写因子(FXR、CREB1、Cdx-2)が、絶食によって低下もしくは、低下傾向にあった。さらに、再摂食後1日においてACOX1, ACOX2、CRBPII,L-FABP, I-FABP,CREB1、Cdx-2の遺伝子発現が顕著に増大した。これらの結果は、無尾両生類では、3週間の絶食下においても、1回の再摂食によって遺伝子発現が顕著に回復することを示唆している。 さらに、本研究では、ラットにおいても絶食-再摂食の実験を行なった。3日間の絶食によって糖質の消化吸収に関与する遺伝子(SGLT1)および、タンパク質の分解・アミノ酸の吸収に関与する遺伝子(DPP4, APN, PEPT1, SLC3A1, ALC7A9, ALC16A10, SLC3A2, SLCA7)の遺伝子の多くの発現が1/5から1/10以下にまで減少するとともに、再摂食1日後においても、そのほとんどが低い状態であった。さらにSGLT1遺伝子上のヒストンのアセチル化を観察してみると、再摂食によって増大しなかった。さらに、タンパク質の分解・アミノ酸の吸収に関与する遺伝子の絶食による発現低下は、mRNAの分解によって調節されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Xenopus laevisおよびラットにおける絶食-再摂食の実験を行いその成果を得た。おおむね順調に進んでいると考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
今後Xenopus laevis およびラットにおいて、小腸の栄養素消化吸収関連遺伝子のエピゲノム制御機構およびmRNA分解制御機構の差異を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おもに、クロマチン免疫沈降法などの抗体・ProteinGセファロース・PCR酵素などの消耗品で使用する予定である。
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Research Products
(4 results)