2013 Fiscal Year Annual Research Report
家庭内衣服行動の変容から考える現代の家族・生活の研究
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24650472
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
山村 明子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (60279958)
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Keywords | エプロン / 日本 / 家庭生活 / 家族関係 / ジェンダー |
Research Abstract |
日本におけるエプロンについての研究を深め成果があがった。日本家政学会第65回年次大会にて口頭発表「エプロンにみる家庭の中の衣生活」を行い、家庭生活と衣服との関連性を問うた。参加者より近年のエプロンの消費傾向などについて意見をいただき、さらなる研究の方向性を見出すことができた。 その結果、1950年代以降のアパレル商品の生産及び消費動向からエプロンの使用実態についての資料検討を加え、エプロンが家庭生活、家族関係に関与してきた意味について考察を深めた。これらの内容を、2014年1月に開催された国際ファッション工科大学連盟主催の大会16th Annual IFFTI Conference(The International Foundation of Fashion Technology Institutes,於:文化学園大学 2014.1.29,30) にて“Clothes in the family-Apron generate family life-”という演題で、エプロンが家庭生活のあり方、ジェンダー観の形成、家族関係の諸問題を有するテーマであることを論じた。 1950年代以降、エプロンは主婦や女性としてのイメージ:家庭内での愛される主婦像を形成した。しかし、固定的な女性性を示すエプロンのイメージは、エプロンを消失させた一因となった。女性の社会活動や男性の家事参加が広がる1990年代からエプロンの女性性に対する否定がなされている。2000年代にはエプロンと家事を肯定的に結び付ける意見もあれば、対照的な意見もある。さらにエプロンに優しさ等をイメージしている事例も見られた。女性による家事労働が前提の場合、エプロンの女性性が強調され、その否定のために、姿を消す要因となった。一方、家庭内での男女協同が前提となったエプロンは、家族の親和性を高めている。エプロンは人への安らぎや親しみを与える衣服として、生活を作り出す力を持つと結論付けた。欧米各国の研究者にも大いに関心を持ってもらうことができた。当該論文は大会発表報告書として発行される予定である。
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Research Products
(3 results)